[ニューデリー 18日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は18日のロイターのインタビューで、今年の世界の石油需要見通しを引き下げる方向で調整していると述べた。米中貿易摩擦を受け、世界経済が減速していることを理由に挙げている。

IEAは昨年時点で2019年の石油需要の伸びを日量150万バレルと予想していたが、今年6月に120万バレルに下方修正し、現在は110万バレルへと改訂中。ビロル氏は世界経済、とりわけ中国経済が一段と弱くなるようなら、もっと見通しを下げる可能性があると警告した。

ビロル氏は「中国は過去30年で最も低い成長を経験し、一部の先進国も同様だ。世界経済がわれわれの想定よりもさらに低調に推移すれば、数カ月中に需要予想をまた見直すかもしれない」と説明した。

同氏によると、米国の石油生産の伸びは今年180万バレルと、昨年の220万バレルから鈍化しそうだが、需要が下振れている中でこれだけの規模が市場に流入してくるという。

また同氏は、ホルムズ海峡周辺をはじめとする中東地域の緊張の高まりをIEAは懸念していると指摘。「われわれは現地の状況を注視し続けており、何らかの事態が起きれば迅速かつ断固たる行動に出る用意がある」と強調した。

同氏は、1バレル=65ドル近辺という足元の原油価格には、イランやリビア、ベネズエラを巡る問題と米中摩擦への懸念が反映されているが、主に米国のシェール革命のおかげで市場には潤沢な石油がある以上、価格高騰は見込まれないとの見方を示した。