M&A減損、世界で16兆円 金融危機後で最大
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バリュエーションは、例え想定通りに事業運営が実施できていても、市場環境との連動性が高い長期成長率や、割引率推計に重要なベータ値の変動を通じて、評価結果が大きく動くことも念頭に入れておいた方がいいです。
また、IFRSでは、ある年度においてFair Valueが下がって減損して、翌年度以降においてFVが戻ったとしても、のれんは戻入れができなく、のれん以外の無形資産は戻入れが可能です。
個人的には、のれんのFVの妥当性という明確な答えのない議論を毎年監査人と実施するよりも、買収した会社が自社と統合していく意味合いから、のれんは償却していった方が実際の事業運営とも整合性がとれると思っています。
なお、のれん償却の議論は、PLの収益性の毀損を懸念する声が最も大きいので、PLを通さず直接BSの純資産を減らしてのれん残高を毎年減少させていく方法にて、最終的には着地するような気がしています。うーん、だから何、という感じが…
下記を見ると世界の時価総額はざっくり50兆ドル(浮動株調整後で、実際にはもう少し大きい)。それに対して年間で1500億ドルというのは0.3%ほど。時価総額はストックで年間の減損額はフローという観点で、例えば×10倍をしても3%という規模感。
https://myindex.jp/global_per.php
企業の資産価値は、産業の性質的にもBSには載らないものが増えてきている。また伝統的な産業でも重要度が増していて、それが経営の巧拙を表す。
その意味では経営がちゃんとした会社を買収すればのれんは発生することがほとんど。そのうえで、そうはいっても環境変化だったり高値掴みで損失が出るのは、元々買収は経営の中でも一番難しいオプションなのだしリスクを取っているのだから当たり前。
リスクテイクをしたうえで、どれくらい企業価値に損失をきたしているのかという点で考えれば、上記のようにそこまで大きな規模ではなく、むしろ買収全体が合従連衡含めて収益に寄与している点は少なくないだろう。6月26日の日経朝刊で、M&A「のれん」が7兆ドルあると報じていたが、今回は、そこから生じる減損に焦点を当てた関連記事。
理論的には、この7兆ドルの全額が損失になる可能性がある。
この財務報告上の変動リスクの大きさを考えると、IFRSの減損会計ではなく、20年以内の均等償却の日本基準が優れていると思う。