[東京 16日 ロイター] - 仮想通貨取引所ビットポイントジャパンの小田玄紀社長は16日の記者会見で、仮想通貨の流出事件の補償対象は5万人で、仮想通貨で払い戻すと述べた。安全性の確認ができ次第、補償する方針を示した。ビットポイントは流出相当分の仮想通貨を保有している。

ビットポイントは、同社の被害額や当面の対策費用などを考慮してもなお、不測の事態が起きない限り、同社や親会社のリミックスポイント<3825.T>の財政状態に支障は生じないとしている。流出相当分の仮想通貨を確保した後も、約30億円の現預金残高があり、事業継続にも支障はないという。

リミックスポイントは14日、流出した仮想通貨の総額を約35億円から約30億円に修正。これとは別に、同社のシステムを提供している複数の海外の取引所から概算で2.5億円程度の流出があったと明らかにした。

<秘密鍵の暗号化、解読される>

今回の不正流出の原因は、ネットに接続した「ホットウォレット」で管理していた秘密鍵が不正に盗み取られたことと推定されている。

小田社長は会見で、ホットウォレットで管理していた秘密鍵に流出防止のため暗号化加工していたが、何らかの理由で解読されたと述べた。

ビットポイントの朏仁雄COO(最高執行責任者)によると、事件前に有害な動作を誘発する不審な「マルウェア」が送付されていた。同社内でウィルス感染はなかったが、金融庁に報告したという。

今回流出した仮想通貨は顧客の預かり資産の13%で、仮想通貨交換業協会の自主規制ルールである20%を下回っていた。秘密鍵のホットウォレットでの管理について、小田社長は「完全になくすのは困難だが、管理比率を下げるなど工夫、検討は必要かもしれない」と話した。

小田氏はリミックスポイントとビットポイントの社長を兼務している。小田氏は、ビットポイントでは朏氏がCOOを務め、経営の執行と監督は分離していると説明。ただ、不正流出事件を機に「経営管理体制の強化はしていかなければならない」と述べた。朏氏とともに、原因究明と顧客対応に注力する方針を示した。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:内田慎一)