[ワシントン 15日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、人種的少数派の民主党女性議員4人に対する攻撃を一段と強める一方、自身の発言について人種差別的との批判を否定した。共和党の大半の議員は反応を示していないが、民主党のペロシ下院議長は大統領のツイートを非難する決議案を提出する考えを示した。

トランプ氏はホワイトハウスで、米国に批判的な人々は米国から去るべきだと強調。「米国にいるのが幸せではなく常に不満を述べているなら、非常に単純に、この国を去ればいい」と述べた。

自身の発言について人種差別的との見方があり、白人至上主義者らが共通項を見いだしていると懸念しているか問われると、「懸念はない。多くの人々が私に同調しているからだ」と応じた。

トランプ氏は14日、「進歩的な民主党の女性議員」に対し、「完全に破滅して犯罪がまん延する元にいた国に帰り、建て直しを手伝ったらどうか。その後(米国に)戻り、どのように建て直したか見せてほしい」とツイート。名前は挙げなかったものの、アレクサンドリア・オカシオコルテス議員、イルハン・オマル議員、アヤナ・プレスリー議員、ラシダ・トレイブ議員の4人の女性議員を指したとみられている。4人はトランプ氏のほか下院民主党指導部に対しても批判的で、「スクワッド」と呼ばれている。

4人は全員、新人の下院議員で米市民権を保有。オカシオコルテス議員、プレスリー議員、トレイブ議員は米国生まれで、オマル議員はソマリアから難民として1992年に米国に移住した。

4人の議員は記者会見を開き、トランプ大統領は社会の分断を深め、移民や医療保険、税制に関する失策から国民の目をそらせようとしていると批判。

オカシオコルテス議員は「政策に関する反論や議論を避けるために弱い指導者は国への忠誠を試そうとする」と述べた。トレイブ、オマル両議員はトランプ氏の弾劾をあらためて呼び掛けた。

ペロシ下院議長はトランプ氏の「外国人嫌いのツイート」を非難する決議案を提出する意向を表明。

ロイターがこの日遅くに閲覧した決議案の原案には、下院は「新たに市民権を得た米国民や有色人種への恐怖や憎悪を正当化し、助長するトランプ氏の人種差別的なコメントを強く非難する」としている。

下院民主党ナンバー2のホイヤー議員は記者団に、早ければ16日に下院で決議案の審議に入ると述べた。

一方、共和党の大半の議員は社会を分断するトランプ氏の発言について沈黙を守っているが、数人が懸念を表明。下院共和党で唯一のアフリカ系米国人であるウィル・ハード議員はCNNで、トランプ氏の攻撃は「人種差別的」だと批判。

上院共和党で唯一の黒人議員であるティム・スコット氏はツイッターに「人種差別的な攻撃」だと投稿した。

共和党のマッカーシー下院院内総務は4人の民主党議員は米国に属していると述べたが、トランプ氏は「人種差別主義者ではない」と述べて批判はしなかった。

共和党上院トップのマコネル院内総務はコメントしていない。

カナダのトルドー首相は15日の記者会見で、移民系女性議員を巡るトランプ氏の発言を非難。「カナダでのやり方ではない」とし、「カナダの多様性は最大の強みの一つだ。われわれはこれを守り続ける」と述べた。

英政府の報道官はこの日、メイ首相がトランプ氏のツイートに対し「完全に受け入れることができない」との見解を示したと語った。

*内容を追加しました。