[シンガポール 12日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が12日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前年同期比0.1%増となり、ロイター調査の市場予想(1.1%増)を大きく下回った上、2009年第2・四半期(1.2%減)以来の低い伸びを記録した。

第1・四半期の1.1%増(改定値)からも急激に悪化。製造業の不振が続いたことが響いた。

第2・四半期GDPは季節調整済み前期比年率では3.4%減少し、約7年ぶりの大幅減となった。ロイター調査の予想は前期比年率0.1%増。第1・四半期は同3.8%増だった。

OCBC銀行の国債調査部門責任者のセリーナ・リン氏は、第2・四半期GDP速報値について「極めてひどい。市場予想の下限さえも大きく下回っている」と指摘。引き続き製造業が主な足かせになっているとした。

第2・四半期GDP内訳をみると、製造業は前年同期比3.8%減、前期比0.4%減だった。

シンガポール通商産業省はこれに先立ち、今年のGDPが1.5─2.5%増と、10年ぶりの低い伸びになると予想していた。一部のアナリストは来年の景気後退(リセッション)入りの可能性を指摘している。

アジアの他国では、韓国もリセッション入りが予想されている。また、中国が15日に発表する第2・四半期の成長率は、少なくとも27年ぶりの低水準となる見通し。[nL4N24D0C3]

OCBC銀のリン氏は、当局がまもなく通年の成長率見通しを0.5─1.5%に引き下げるとの見方を示した。

過去2年間シンガポール経済をけん引してきた電子機器の生産は5月に6カ月連続で減少。5月の輸出はここ3年余りで最大の落ち込みを記録した。 [nL4N23X1JH][nL4N23O0NS]

エコノミストらは、シンガポール金融管理局(MAS)が次回10月の金融政策見直しで政策を緩和すると予想している。

コンティニュアム・エコノミクスのJeff Ng氏は「MASが緩和に動く確率は4分の1だったが、10月、もしくはそれ以前に金融緩和を行う確率は今や40%に上昇した」と指摘した。

オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)は、MASは10月に金融緩和を行うとの見方を示し、シンガポールドルの名目実効レート(NEER)の政策バンドの傾きを1.0%から0.5%に引き下げるとの見通しを示した。

INGは、きょうの指標はMASが後手に回れば景気が必要以上に危機にさらされることを示しているとし、10月よりも前にMASが緩和に踏み切る可能性があると指摘した。

昨年2回の金融政策レビューでMASは、物価上昇圧力を管理し、為替相場を支援するため政策バンドの上昇率を引き上げた。引き締めは6年ぶりだった。

GDP統計を受けてシンガポールドル<SGD=>は対米ドルで、1.3570シンガポールドルから1.3585シンガポールドルに下落した。

*内容を追加しました。