【中田敦彦】芸人が「オンラインサロン」を選んだわけ

2019/7/14
7月9日の『The UPDATE』の議題は「オンラインサロン になぜ人は集まるのか」。
論客は「西野亮廣エンタメ研究所」を運営するキングコング西野亮廣氏、「PROGRESS」を運営するオリエンタルラジオ中田敦彦氏、オンラインサロン取材経験のあるライターの速水健朗氏。
計三名のゲストを招き、オンラインサロンの現状と課題について、議論を交わした。
視聴はこちら(タップで動画ルームに遷移します)。
会場は満員御礼、議論は熱を帯び一時間延長。
彼らはなぜオンラインサロンを運営しようとするのか。
そして、オンラインサロンのメンバーは何に対してお金を払っているのか。
会場にいるサロンメンバーの生の声から、Twitter上での発言など、賛否両論いずれの意見も交わされた。
番組の最後に、古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、中田敦彦氏の「僕と西野さんは負け組」に決定。
果たして、自らを「負け組」と言い切る、この発言の真意とは。
番組終了後、中田氏に話を伺った。
オンラインサロンは生存戦略で
NSC10期生として、デビュー後すぐに「武勇伝」ネタで大ブレイク。多くの冠番組を持ち人気を博した芸人コンビ・オリエンタルラジオ。
その後、2014年にダンス&ボーカルユニット・RADIO FISHを結成し、2016年「PERFECT HUMAN」がヒット。
お笑い番組で披露される、その斬新さとキャッチーな音楽は一気にヒットを呼んだ。
しかし、中田氏は、自らを「負け組」という。
中田 僕も西野さんも、レギュラーのテレビ番組やMCとしての仕事がない、という点ではテレビ業界で勝っているとは言えないな、と。
もし僕が、テレビで売れていたら、それこそYouTubeもオンラインサロンもNewsPicksで番組をもつこともしていなかったかもしれない。
新番組 中田敦彦×企業研究『NEXT』
【放送日時】
7/18 (木) 22:00〜 #1 ソフトバンク
7/25 (木) 22:00〜 #2 ソニー
※番組の全編視聴には、NewsPicks有料会員への登録が必要です。
ただ、これって僕の中では、スペインやポルトガルが、大航海時代に真っ先に飛び出したことと似ていると思っていて。
要は、当時のスペインやポルトガルは他の国に押されていたわけです。彼らは、だからこそ海に出ようか、と思った。
陸地で負けたから、海に出た。そして結果的には違う未来を切り開いた。
僕たちも一緒で、生存戦略のようなものです。
こっちでうまくいかなかったから、こっちに逃げて戦ってみる。
そういうことだと思うんです。
西野さんの「ひな壇に出るのが向いてないからやらない」という意見も似ているかな。
もちろん、ただ逃げて仕方なく行き着いたわけではなく、オンラインサロンをやってみたかったから、という確かな理由はあります。
古坂さんの「テレビで負けたと思ってる?」という質問に対しては、「はい、負けたと思っています」と、はっきりと答えたし、それは決して嘘ではない。
テレビではうまくいかない、となったときに「オンラインサロン」に目をつけたのはなぜか。
中田 僕がテレビタレントという、すごく不安定な仕事をしていたからですね。
要は、この仕事って、広告収入で食っているコンテンツから事務所にお金が渡り、その事務所から僕たちに依頼がくる、という構造なんです。
つまり、自分発信のコンテンツというものがない。与えられた場でパフォーマンスをすることだけを求められる。
おまけに、テレビって自分が届けたい人に届けられないことが多いんですよ。
だって、自分が出たい番組に必ずしも出られるわけではないから。
自分が作りたいとは思わないコンテンツに雇われて、ときには気が進まない企画もやらないといけない。
レギュラーになれば、余計に自分のやりたいことはできなくなっていきます。おまけに、会社員じゃないから雇用や給料もかなり不安定。
これでスケールしている業界なら、バブルなんでしょうけど…。
そこで自分の身の振り方について真剣に考えたとき、ファンベースのコンテンツ、そして直接課金のサブスクリプション、このふたつが強いと思った。
そして、その交差点にあるのが間違いなく「オンラインサロン」だな、と直感したんです。
もともと僕は物販のサービスを運営していたんですけど、あれってイベントのときくらいしか売れないんですよね。
おまけに、ネット通販だと売れた相手の顔も見えない。
住所を登録すればダイレクトメールが送れるけど、このつながりだってもっと強くしたかった。
その点もオンラインサロンであればクリアできるな、と。
構造はお料理教室などと同じ
番組内では「幸福洗脳」Tシャツを着たサロンメンバーも参加。オンラインサロンに入ったきっかけや、それによりできた絆について語っていた。
たしかに、オーナー側としては、届けたい層へのコンテンツの発信は、魅力的だ。
また、ユーザー側としては、価値観の合うコミュニティの発見、という点で、オンラインサロンは意義ある存在だろう。
その一方で、オンラインサロンに対して、批判が絶えないことも事実だ。
「やりがい搾取」やセクハラ・パワハラ問題など、一部ではあるが、オンラインサロンの闇が取り上げられることもある。
その点について、中田氏はどう考えるか。
中田 オンラインサロンに対して漠然と「恐怖心」や「嫌悪感」をもっている人たちに対しては、「クレジットカードを異様に怖がる層」と似ているなあ、という印象くらいしかないです。
クレジットカードをもつことに嫌悪感を抱き、現金払いだったら大丈夫、という人いますよね。お金を払う点では何も変わらないのに。
たとえば、オンラインサロンに入っていない人だって、カルチャースクールやお料理教室などには入っているかもしれない。
お金を払って、なんらかのコミュニティや習い事をする人は社会人でも多いですよね。
でも、お料理教室に行っている人に対して「他の料理の味がわからなくなるリスクありませんか」なんて批判する人はいない。
月額の料金を支払い、コンテンツを楽しむ。
たしかにその点でいえば、既存のカルチャースクールや習い事と構造は同じだろう。
中田 ただ、オンラインサロンが今までのコミュニティと違う点は、フェイスブックの強み、さらに、サブスプリクションの構造、この二つだと思います。
要は、オンライン上で繋がれて、動画配信などもあるので、地方でも参加できるようになった。
そして、決済サービスがデジタルになったので、たとえばわざわざ月謝をもってピアノ教室に行く、みたいな従来の煩わしさがなくなった。
このプラットフォームの進化がすごいんです。
逆に、中でやっていることは、昔からやってきたアナログなことと大して違いはない。
オンラインサロンはコモディティ化も
中田 僕は、子供の頃にテレビゲームが出てきた世代なんですけど、当時は「テレビゲームをやったらバカになる」と散々言われていました。
でも、いまそんなこと言う人はほとんどいないですよね。それどころかe-Sportsなど新たな文化も出来ている。
もっと昔に遡れば、小説ばかり読んできた世代が「漫画を読むとバカになる」とか、現代だと「YouTubeを見てるとバカになる」とか、どの時代もそういうことを言う人はいるんです。
今までなかったものを恐怖するのは、人間の自然な摂理なので、ある程度仕方ない部分はあると思うのですが。
もちろん、セクハラやパワハラなどが横行することは由々しき問題ですし見逃してはいけない。
ただ、オフライン、つまり多くの企業でも同様の課題は抱えていますよね。
これをオンラインサロン特有の闇として考えるのは、ちょっと違うのではないかと思います。
中田氏は、オンラインサロンを始めて半年。
「ちょっと出遅れた方だと思っているので、これから頑張りたいんですよね」と語る。
しかし、オンラインサロン自体の未来に対しては、希望を抱いている。
中田 NewsPicksで今回取り上げられたこと自体、それが面白いなと思っていて。
ひとつのテーマとして番組内で議論されるフェーズに入ったわけです。
そしたら次は間違いなくコモディティ化していくでしょう。
ファーストペンギンがいて、アーリーアダプターがいて、そこからコモディティ化していく…。
この流れでいうと、まさに今日はその中間地点にきたのかな、と認識しましたね。
次回のテーマは「新リストラ」
去年から今年にかけて日本企業によるリストラが進んでいます。
以前、リストラは経営状況の悪化によって行われるものでしたが、現在の新リストラには、こうした理由が当てはまらなくなっています。
黒字で経営状態が悪くない企業が社員に希望退職を募ったり、雇用する価値が見えなければ切り捨てる「新リストラ」が始まっています。
なぜ今、こうしたリストラが日本企業の間で大々的に進んでいるのか?リストラ対象者の雇用と人権をどう守るべきなのか?
人事部責任者、産業医、大学准教授、弁護士を交え、徹底的に議論します。
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<執筆:富田七、編集:木嵜綾奈、デザイン:斉藤我空>