[東京 10日 ロイター] - かんぽ生命<7181.T>と日本郵便は10日、保険の不適切販売について記者会見し、再発防止策を公表した。契約の乗り換えを勧めないことや、契約を解消しなくても新契約に移行できる制度の導入、営業目標の引き下げなどを盛り込んだ。

会見冒頭、かんぽ生命の植平光彦社長は「(顧客の一部が受けた)不利益の解消に向けて、全社体制で真摯に対応していく」と述べた。かんぽは、本社に植平社長を本部長とする顧客対応の組織を設置し、顧客の意向確認や保険金の支払いを行う。保険料の二重払いについては、顧客の意向を確認した上で払い過ぎた分を返還する方針。

かんぽ生命によると、2016年4月から18年12月にかけて新旧の保険から保険料を6カ月以上二重徴収していたケースが2万2000件に上った。旧契約を解約して新規契約を結び直すまでの間、一時的に無保険になる事例も約4万7000件に上る。

今後の内部調査で、不利益を受けた件数は増加する可能性がある。かんぽ生命は年内に調査結果を公表する。このほか、社外のメンバーで構成する第三者委員会を設置する方向で調整を進める。

今回の不適切販売の背景には、過度な営業目標や郵便局員の報酬制度があったとみられているが、日本郵便の横山邦男社長は会見で、8月以降は営業目標を引き下げると言明した。

また、現在の保険契約を解消しなくても新契約に移行できる「契約転換制度」を21年4月以降に導入することも打ち出した。

現在はこの制度がないため、顧客は契約内容を見直す際、契約をいったん解約して新契約を結び直す場合がある。旧契約の解約後、3カ月以内に新契約が結ばれると「乗り換え」となり、販売した郵便局員への手当てが半額になるため、満額を受け取るために解約後4カ月以上経ってから新契約を契約させた可能性が高い。

日本郵政<6178.T>は今年4月、かんぽ生命株を売却した。植平社長は会見で「4月の売り出しのタイミングでは(顧客が不利益を受けたケースの発生を)認識していない」と話した。

*内容を追加しました。

(和田崇彦)