【リンクトイン村上代表】「レジュメ」を書けば、給料は上がる

2019/7/14
特集「THE・給料」の最終話は、リンクトイン日本法人の代表、村上臣氏が登場する。昇進・昇給もままならない時代だが、転職の意思の有無を問わず「レジュメ/職務経歴書」を作成することで、給料アップのきっかけが掴める……と提言する村上氏。国内外の雇用事情に精通した「働き方のプロ」ならではの知見に満ちたインタビューをお届けする。
村上臣(むらかみ・しん)
青山学院大学在学中に仲間とともに「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。1度退職した後、12年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。17年11月にリンクトインの日本代表に就任。

年1度「職務経歴書」を更新せよ

──日本と海外で、給料事情が最も大きく異なる点はどこでしょうか?
村上 日本では、勤める「会社」によって給料が決まります。会社ごとに独自のテーブルがあり、給料は年次や同期のつながりなどのバランスで相対的に決まっていく。
対して海外、特にアメリカではジョブディスクリプションが明確なので、専門職に対して「相場」ができているという違いがあります。
その相場は、どこの会社に行こうが基本的には変わりません。なので、給料が最優先事項というわけでもなく、同じぐらいの給料だけど、この経営者やカルチャーが好きだから……といった理由で入社する人が多いですね。
──つまり、給料を上げたかったらジョブチェンジをしなくてはならないということでしょうか?
といっても、日本人が考えるようなジョブチェンジは、実は海外では難しいのです。
日本には「総合職」の文化があるので、マーケティングをやっていた人が営業や企画に行くような転身もあり得ますが、欧米でそれをやろうとすると、大学に戻って一から学び直さなければならない。
したがって、完全に違う分野に行く人は少なく、マーケティングをやっていた人がPMになるなど、今までの専門性を半分以上は生かしながら、自分の興味が変わってきたとか、こちらのほうが給料が上がりそうだといった判断で選択していくイメージです。
その際、「これはかなりのチャレンジだ」と思うような職種にも臆することなく応募するのが、海外の傾向ですね。
ジョブディスクリプションを100%満たしているキャンディデートなど、そもそもほとんど存在しません。その人のアピールを見て、採用担当者が「この部分は少し足りないけれども、うちの会社でこういうトレーニングを受ければカバーできるだろう」とか「このスキルはOJT的に上げていけるだろう」と思えば、その時点で雇えるので、みんな積極的に応募するのです。
──そのためには、「自分に何ができるのか」を明確に語れなければ、話が始まりませんね。