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注目のコメント
もともと全ての人(国民)に教育を、という目的で決定打として出てきた制度が義務教育でした。貧困の連鎖を断ち切るのも、外からは見えにくい困難な環境に介入するのも、政府であるからこそできるのだ、と政府が公教育を担うようになりました。19世紀のヨーロッパでのことでした。
実際、政府による義務教育の効果は凄まじく高く、識字率の向上や、新たな産業の急成長など、波及効果も莫大なものでした。今も義務教育の効果は認められていますが、世界中で綻びが出てきています。
義務教育の時代を支えたのは、徴兵制の要請でした。義務教育を受けた兵士は強い、という認識こそ、各国政府が義務教育に熱心に取り組む動機となりました。義務教育は身体壮健な国民をつくることができます。文字の読めない兵士は使いどころが限られます。優秀な将校とは(弾道計算に必要な)数学ができる将校であり、数学のできる人材を広く国民から見出す必要がありました。
義務教育を支えたもう一つの要因は産業の要請でした。労働集約型から資本集約型の産業が増えていく時代、義務教育を受けた労働者は必須でした。日本でも高度経済成長の時代に、義務教育の必要性を疑う経営者はいなかったでしょうし、綻びが出ないように投資することにも積極的であったでしょう。
現在、徴兵制の時代は終わりました。中国がやっているように、何千ものドローンが戦場を飛び交う時代になるでしょう。知識集約型産業からは、義務教育では人材供給が不十分であるという声が多くあがっています。そういう産業は、当面は私立学校に投資し、公教育のために税金が使われることを嫌うでしょう。
労働集約型産業や資本集約型産業がすぐに消え去ることは考えられません。建設業も農業も、小売業も、まだまだ存続するでしょう。しかし、そういう産業に必要なはずの義務教育は、おろそかにされつつあります。産業や政府が広い範囲のための教育にお金を出すことを期待しても限りがあるでしょう。歴史の大部分で教育を担ってきた宗教、あるいはそれに類似したNGOなどの役割が増えるでしょう。「子どもの貧困は隠れているから、難しい。」
7人に1人の子どもが貧困状態にあると聞き、以前取材を試みた時に言われた言葉です。こちらも難しい状況に無理を言ってお願いすることを躊躇する中、Learning for Allのみなさんは、「良く見ていかれてください」とインタビューや見学を受け入れてくださいました。
そこで見たのは、日常的な勉強に励む子どもの姿でした。
家庭的、経済的な困難から学習機会を失っていた子どもたちにとって、この「日常的」な空間がどれほどの意味を持つのか。また、その空間づくりにどれほどの労力が注がれているのか。緻密な運営を支える組織づくりにもご注目ください。
第一回は、李代表が、日本から子どもの貧困をなくしたいと感じた原体験のお話です。原体験を踏まえた素晴らしい志の活動だと思う一方で、記事を読んで感じたのは、いったい学校の役割は何なんでしょうか?そもそも塾に行かないとついていけない、いい大学に入れない、好きなことを伸ばす機会がないという仕組みについてもっと議論され見直されるべきなのではないでしょうか?
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