【池田純】Bリーグが令和時代の次のベイスターズになるために

2019/7/7
7月2日の『The UPDATE』のテーマは「令和はBリーグの時代になりえるか?」。
Bリーグチェアマンの大河正明氏、株式会社横浜DeNAベイスターズ初代社長の池田純氏、アースフレンズ東京Z代表の山野勝行氏、千葉ジェッツ社長の島田慎二氏、計4名をゲストに迎え、Bリーグの現状と未来について議論を交わした。
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番組の最後に、古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、池田氏の「バスケの方が野球より未来ある!」という大胆な発言に決定。
ベイスターズ初代社長が語る、バスケットボール界の未来とは。
番組終了後、池田氏に話を伺った。
バスケには自由な議論の土壌がある
番組冒頭、部外者だと断ったうえで、Bリーグの発展について必要なのは「非連続の進化」だと述べた池田氏。
この進化こそ、バスケが次の時代を担いうる、伸びしろだという。
池田 バスケに希望を感じる理由はいくつもあります。
まずひとつは、競技人口。いまの日本の高校生でいえば、バスケットボール人口がもっとも大きいとも言われる。
バスケをやる若い世代が増えれば、両親や祖父母の世代だって試合に足を運ぶようになるかもしれない。
将来という観点でいえば、バスケってとても可能性があるスポーツだと思いますよ。
日本に限らず、たとえばアジアでの野球大国といえば、日本、韓国、台湾が挙げられますが、台湾はすでにバスケットボールの方が勢いがある。
番組内でのTwitter投稿では「野球の存在感が大きすぎるために、バスケの出る幕はない」といった旨の発言も多く見受けられた。
池田 野球があるから無理って言っている人いましたけど、いつの時代も「無理」から入る人はいます。
たとえば、埼玉のスーパーアリーナって、できた当時はいらないと言われていました。
でも、15年経った今は、大規模なバスケのコンテンツを呼ぶことができているし、オリンピックの開催地にも決まった。
念願の「バスケットボールの聖地」になろうとしている。
正直、僕の中では、多様性とか利便性、施設の機能を考えたら東京ドームより、ずっと現在価値が評価されていいんじゃないかって思うくらい。
最初は必ず、無理という意見があるものです。
野球の話でいえば、僕がベイスターズの社長になったときも「絶対に黒字にならない」とか「ハマスタなんて絶対に買えない」とか「強くならないとファンも売り上げも増えない」とか、散々言われていました。
球団をもつことだって、それはあくまで親会社の宣伝であって、赤字は当たり前なんだ、と。
でも、ベイスターズはその常識を塗り替えることができた。今はスポーツ界でもビジネスや経営という考え方が主流になりました。
私も野球の人としつつ、ただ、野球とかサッカーって、いまや、しがらみが多すぎて突き抜けたアイデアが通りづらくなってしまった。
自由にベラベラと話したら排除されてしまうかもしれない世界なので。
そういう意味では、バスケの方が自由な議論が受け入れられる土壌がありますよね。非常識なことを言っても実現できる可能性がある。
今日もチェアマン含めて、自ら憂い、次を目指し、すべてに柔軟、寛容で、非連続の成長を欲しているように感じた。
驕らず、自ら危機意識を持つ
池田 僕は今まで企業の再生、改革に携わってきましたが、共通して必要だったのは自らを憂いて、自らのことを疑問視する力です。
たとえば肯定的な心地いい発言ばかりを受け入れて、合理的で本質的なストレートな発言をする人を排除する、といった悪しき風習ができてしまえば、業界の発展は見込めません。
でも、今日の放送を見ればわかりますけど、バスケ界はチェアマンがああいう方ですから。
そういう意味でも、Bリーグは十分に進化する前提があるな、と。
学芸会からプロのエンタメへ
Bリーグの未来に対して希望を感じながらも、番組内では、現状のバスケ界に対して「学芸会といった側面も必ずある」と、ある種、辛辣な表現をする場面もあった。
一方、「ベイスターズも以前は学芸会だった。特にファームのエンタメは。」
「まだ3年目、エンタメ、演出などまだプロのエンタメにはなりきれていない。なり切れてたら逆に怖すぎる」と語る。
Bリーグが学芸会を脱し、エンタメに昇華するためには、何をすべきか。
池田 一言でいえば、所ジョージさんのような存在がもっと必要だと思います。究極の遊び人で、遊びを仕事にできてしまうような人。
さらには、そういう人がオーナーや経営者として立ったら、オーナーや経営者がそんな感覚を強みにしたら、もっと変わるかもしれない。
遊びを知っているというのは大切ですよ。たとえば僕は音楽がすごく好きです。そういう知見は、野球の場でも活きるんです。
例えば、以前ハマスタに、ブルース・スプリングスティーンをどうにかして呼びたいと夢を抱いたことがあります。
その時、アリゾナのトーキングスティックリゾートアリーナという、フェニックスサンズの本拠地のところに、わざわざ見に行きました。
生で見て、もし本当にスプリングスティーンをハマスタに呼んだら、伝説のスタジアムになるなって確信をもつことができた。
できるできないは別。夢が大事。
夢の方向に向かって動き出す。本気で音楽の世界で遊べば、音楽の世界で生きている人たちにも刺さるものが作れる。
つまり、遊びが仕事になる瞬間です。
他にも、僕はビースティー・ボーイズやファレル・ウィリアムスが出資していると聞いたのは後なんですが…
ブルックリンの自転車屋さんに興味をもったのは、そこの自転車屋さんを刺しにいけば、ビースティーやファレルのファン、加えて、その自転車とかBMXの世界で生きる人たちまでファンに取り込めると思ったから。
彼らに、ベイスターズって格好いいなって思ってもらえたら、そこからファンになってもらえるかもしれない。
僕はそういうことを、ありとあらゆる領域でやってきたつもり。
最初は単純にかっこいいとベイスターズが思われたかっただけなんですけど(笑)
遊びの努力は音楽に限らない
池田 ビールも、開発に二年くらいかけました。
最初大手に相談したときは、マーケットはもうないよ、と言われてしまいました。
が、実際に自らポーランドに行って、醸造家をまわって、クラフトビールを勉強して、ベルギーからホップを輸入しまくって、世界中のありとあらゆるビールを飲み比べて、実際に選手にも試飲してもらって…
そこまでやって、これはうまいぞ、というビールにやっと行き着いた。
ベイスターズのビールは、だからうまいんですよ。
本物だから、クラフトビールに興味がある人や、ビール好き、酒好きの人にも刺さる。
「野球とか興味ないけど、ビール飲みにベイスターズ行ってみない」なんてこともある。最初は、野球はつまみでいい。
そうやって、本当の遊びの世界を知っていて、色んな世界から「あのチーム格好いい」と認められるような表現を獲得できれば。
チームを通してできる人材が、Bリーグの経営者でも、チームのオーナーでも、多数立つことができれば、バスケットボール界から、令和の時代を象徴するような、〝次のベイスターズ〝が生まれるようにも思います。
SNSやインターネットの活用など、Bリーグも当然試行錯誤を繰り返している。
まだ3年目だから当たり前ではあるが、物足りなさがあるとも語る。
池田 僕は以前ブルックリン・ネッツの本拠地バークレイズ・センターに行ったときに感動したんです。
あそこは投資先が認めたDJしか回すことができないようなオーナー関連がヒップホップな人たちだから、かける音楽ひとつひとつがどれも素晴らしく格好いいんですよ。
照明もスタジアム内に響く低音も、マスコットですら、クラブ通いの人たちにも刺さるようなハイクオリティで。
というか、これくらいピカイチに格好良くしないと、その世界で生きる人たちから「ださい」って思われてしまう。
当時は僕はベイスターズの社長になったばかりの頃でしたが、すごく感銘を受けて。だから野球選手の登場曲とかも、選手と相談しながら、とにかく格好いいものをと頭を悩ませました。
野球のまわりにある要素ひとつひとつをすべて、その世界の人たちに「かっけえ」って言われるようにしたかったんです。
池田氏は、長期的な視野でチームや業界の発展を考えるとき、必要なのは、ちっぽけな商売根性ではない。
そのチームにまつわる、あらゆる領域での突き抜けた遊びと、それにともなう非連続な発展が必要だ、と繰り返し述べる。
池田 八村塁選手を見たときに多くの人が思ったことって、あの蝶ネクタイとスーツすげえな、って、そういうことだと思うんですよ。
その後ろに歩いていたドラフトの選手も、みんな格好良かったですよね。
でもね、たとえば日本の野球選手の移籍会見とかになると、あんな格好したら悪影響がある、怒られるかもしれないといった、もっと価値観と寛容さにも、非連続な進化が必要だと思います。
みんなスーツ。本当はもうそんな時代は終わっていて、スポーツは多様性が一番に尊重されなくてはならない領域なはずなんです。
もし日本で次の八村塁のような人が出てきたら、きっとファッション雑誌などで紙面を飾れるかもしれないし、Instagramで女性のファンを増やすかもしれない。
そういったきっかけでスタジアムに足を運ぶ人がいるかもしれない。グッズも必然的に拡大にかっこよくなる。
行ってみたら、いろんなエンタメがピカイチに格好いい。もちろん、試合のプレイは最高に格好いい…
そんな未来を作ることができたら、バスケ界には大きな可能性があると思いますよ。
チームを応援するとか、試合に行く癖をつけさせるとか、それはすごく難しいし、本当に先の話なので。
その前にもっと考えないといけないことがありますよね。人は楽しいところに集まるんです。だったらピカイチに楽しいところを作らないと。
そういう意味で、Bリーグはまだまだ道半ばだと思います。
けど、未来の可能性は無限だと感じます。
次のテーマは「オンラインサロン 」
有名人が主宰し、話題を呼んでいるオンラインサロン。
月額会費制で、より近い距離で有名人と接することができる上に、専門的なスキルを磨くことができるため、人気がでています。
一方、オンラインサロン内での人間関係の悪化など、コミュニティとして問題を抱えるという事例も発生しています。
果たしてオンラインサロンはどう有意義なのか?
キングコング西野亮廣氏、オリエンタルラジオ中田敦彦氏、ライターの速水健朗氏をお迎えし、徹底議論します。
<執筆:富田七、編集:木嵜綾奈、デザイン:斉藤我空>