米景気の先行きを警戒 FRBが金融政策報告書
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米国景気がどういう状態にあるのかを判断するのは難しいが、一つ確実な点は、最近の米国経済指標には、市場予想を大幅に下回る「極端」なものが、ちらほら目立つということだ。
例えば、6月ミシガン大学消費者センチメントの期待インフレ率は、過去最低を更新した。6月ダラス連銀製造業指数は、いきなり▲12.1まで急低下した。6月NY連銀製造業景況指数は、前月から26.4も低下し、単月の下落としては統計開始以来の記録となった。もちろん、米中貿易戦争のみならず、メキシコへの関税なども持ち上がり、そうした外部要因の不安が、こうした経済指標に過剰に反応している可能性もある。しかし、それを含めての景気であり、経済であり、それこそがリアルだ。
とりわけ、金融政策しか権限を持たないFRBにとっては、金融政策の有効性が低下するなか、外部では経験したことのない保護貿易の嵐、米国内では共和党と民主党の激しい対立でまともな政策が期待できない状況下において、先行きの米国経済に対して、ここで主張している以上に、危機感を抱いているだろう。金利の長短スプレッド低下など先行き不安を示す兆候はこの1年間ずっと続いている。不安感がある中で、FRBの金利引き上げが続けられてきたことも不思議の一つ。
いずれ近いうちに「踊り場」ではなく「後退」に移るのは確実だが、その度合いを予測しておくのが主たる問題だ。政策運営の成否はその見通しの精度いかんだと思われる。