【柴山和久】どんな人に年収1000万円を払いたいか?

2019/6/29
6月25日の『The UPDATE』のお題は「新卒で1000万円ほしいですか?」。
ウェルスナビCEO・創業者の柴山和久氏、ランサーズ取締役の曽根秀晶氏、リクルートワークス研究所主幹研究員の豊田義博氏、ラッシュジャパン人事部長の安田雅彦氏の4名をゲストにお迎えした。新卒で年収1000万円の採用は是か非か、雇用の未来について議論した。
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番組の最後に、古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、柴山和久氏の「1000万を超える仕事は決断」に決定。
番組終了後、柴山氏に話を伺った。

どんな人に年収1000万円を払いたいか

番組中盤、視聴者からTwitterで寄せられた「どんな人に年収1000万円を払いたいか」という質問に対し、「決断ができる人」だと答えた柴山氏。
年収1000万円と500万円の仕事では、その役割に明確な違いがあると語る。
柴山 若いときは、与えられた仕事をきちんとこなしていくことが求められますね。
成長していくにつれ与えられる仕事はだんだん大きくなっていくものの、仕事を振り分けられ、作業をいかに効率的にやっていくかというところでは、中国やインドなどの中産階級が勃興しています。
グローバル基準で考えると、数億人と市場価値をせめぎ合うことになるので、年収500万円の壁を超えることはなかなか難しいです。
実際に、ハーバード大卒でも、初任給は年収400〜600万円ほど。しかし、同じ人でもMBAを取得して3年の実務経験を積めば、1500万円を超えます。
それだけ年収の差があるということは、仕事の内容に本質的な違いがあるはず。その違いとは「決断」でしょう。
年収1000万円以上の世界では、常に「決断」を求められます。
だれかに指示された仕事をこなすのではなく、まだ情報が不確実な段階で、右か左か決めることを繰り返していく。
たとえば、医師がそうですね。病気に関する情報が完璧に揃うのを待っていたら、治療が遅れ患者の命取りになるかもしれない。
そういった責任において、手術をするのか否か、あるいはどんな薬を投与するのか、治療方針を決めていかなければいけません。
経営もまた同じで、不確実な状況下でも知恵や経験、専門知識、チームワークなど、持っているものすべてを活かして「決断」の質を保ち、導いていく仕事です。
グローバルでも年収1000万円を超える人は、何かしらの「決断」を求められる立場にあります。

評価制度の見直し、より広がる格差

番組前半では、「新卒で年収1000万円の採用は是か非か」というテーマから議論が始まった。
新卒の枠にとらわれず、公平に能力を評価されることに対しては、ゲストの多くが肯定的な意見を述べた。
一方で、「年収1000万円で採用された人」という烙印が押されてしまうことのリスクや、「個人の市場価値の見える化」に懸念の声も
柴山 今回は「新卒で年収1000万円の採用は是か非か」の議論が中心でしたが、どうすれば、年収1000万円の世界にいけるのか、というところも議論しなければいけないポイントだと思います。
それは、年収1000万円の人材が増えることが、個人にとっても、社会にとっても、プラスだからです。
不確実性の高い今の社会において、日本経済や日本企業がグローバルな競争に勝ち抜いていくためには、経営の舵取りを担う人材が増えていく必要があるからです。
しかも年収1000万円というのは、あくまでも登竜門です。
ファーストリテイリングが、入社3年時点で欧米拠点の幹部に、3000万円を支払うというのは、グローバルな報酬体系に合わせにいこうとしているに過ぎません。
年収1000万円を“最初の切符”にして、3000万円の世界に行く人が増えていかないと、日本企業は生き残っていけないはずです。
一方で、誰もが年収1000万円を目指すべきというわけでもありません。
「新卒で1000万円」という言葉にインパクトはあっても、日本全体で見たときに関係あるのはごくひと握りの人。
今後、ますますその格差が生まれることが懸念されます。
そもそも「正社員」は日本の雇用者のうち、およそ6割※ほど。これから先、過半数を切る可能性すらあります。
※2018年平均の役員を除く雇用者5596万人のうち、正規の職員・従業員は3476万人であり、全体の62%。(出典:「労働力調査(詳細集計) 平成30年(2018年)平均(速報)結果」)
番組内、ランサーズさんが打ち出した「#採用やめよう」の話の流れで、「フリーランスになっても、仕事がたくさんもらえるのは一部の優秀な人だけじゃないの?」という話がありました。
これに対し、曽根さんが「一定スキルが得られる教育の場も同時に提供していく」とおっしゃいました。
このように、今まさに、働き方の選択肢を増やすことと、そこで生じる問題の対策にさまざまな場所で取り組まれているところです。
年収1000万円以上の世界に登っていく人たちと、取り残されていく人たちとの間に大、きな亀裂が入らないよう、社会全体をどうやって豊かにしていくべきか。
こういったことも考えないと、バランスがとれなくなるのではないかと思います。

7月2日(火)のテーマは「Bリーグ」

*来週、7月2日(火)の配信開始時間は、22時です。
今年5月に3年目のシーズンを終えた男子プロバスケットボールの「Bリーグ」で、日本人初の年俸1億円選手が誕生。
スポーツ選手の年俸1億円と言えば、プロ野球のロッテ・オリオンズ(当時)の落合博満が1986年、読売サッカークラブ(当時)の三浦知良が1992年に初めて手にした。
それから27年を経て、バスケでも大台に到達する選手が現れた。
デジタルマーケティングや地域密着型のアリーナビジネスなど、新時代の戦略でマーケットを切り拓いている「Bリーグ」。
昭和をプロ野球、平成をJリーグの時代とするならば、令和はBリーグの時代になりえるのか?
スポーツビジネスの専門家・元ベイスターズ初代社長 池田純氏、アースフレンズ東京Z代表 山野勝行氏、クラブを人気No.1に再建した、千葉ジェッツ島田慎二社長、「Bリーグ」を率いる大河正明チェアマンを交え、徹底的に議論します。
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<執筆:星彩華、編集:木嵜綾奈、デザイン:斉藤我空>