[香港 27日 ロイター] - 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の最高法務責任者である宋柳平氏は27日、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>との特許を巡る協議は「一般的な」ビジネス活動の一環であり、政治問題化すべきでないと指摘した。

ファーウェイは230件を超える特許に関連し、10億ドル以上のライセンス料を支払うようベライゾンに要求したとされる。[nL4N23J43Z]

米共和党のルビオ上院議員は今月、ファーウェイの要求は「根拠がない」とし、2019会計年度国防権限法(NDAA)の修正案として、中国企業が米国で特許訴訟を起こすことなどを阻止する法案を提出した。[nL4N23O4DJ]

宋氏は「ルビオ議員の修正案が法律として可決されるとは思わない」と述べ、知的財産(IP)権を「政治問題化すべきでない」と指摘した。「IPは私有財産の問題であり、競争、貿易交渉など、国家間の問題の影響を受けないべきだ」と語った。同社は米国や欧州など世界各国の企業と定期的に特許ライセンスについて協議していると説明した。

<ロイヤルティー>

ファーウェイは、米政府から安全保障上の懸念がある外国企業として、米企業が政府の許可なく部品などの輸出をするのを禁じるエンティティー・リスト(EL)に加えられ、事業活動を制限された。ファーウェイは最近、NDAAを巡り米政府を提訴した。

また、メモリコントロール技術などの企業秘密を盗まれたとして米新興半導体企業CNEXラブズを訴えた。この訴訟では、CNEX側に契約違反があったと認める一方、ファーウェイが求めた賠償金支払いは認めない評決が26日に出た。[nL4N23X4WB]

米国の制裁措置によりファーウェイの年間売上高は300億ドル減少するとみられており、同社は米国での特許の収益化に重点を移している可能性があるとアナリストはみている。

しかし、宋氏は、知財権を武器として利用する意向は持っていないと述べ、任正非最高経営責任者(CEO)が今月示した見解を繰り返した。

ファーウェイが2015年以降受け取っているライセンス料は14億ドルを超える。宋氏は、ファーウェイは法外なライセンス料請求に反対の立場だと説明。また、これまで知財権問題で裁判所から賠償命令を受けたことはないと述べた。

「われわれはロイヤリティーを主な収入源とする会社になるつもりはない」と述べ、今後も本業で稼いでいく姿勢を示した。

宋氏によると、ファーウェイは60億ドル以上の特許使用料を支払っている。現在までに8万7805件の特許を取得しており、そのうち1万1152件が米国特許という。

コンサルティング会社IPlyticsによると、ファーウェイは、次世代通信規格5G関連の重要特許を世界で最も多く保有する。