【1勝30敗】急成長ベンチャー3社に学ぶ「資本政策」の不都合な現実

2019/6/27
 世界的にスタートアップに向けた資金の流れが加速する今、スタートアップにとって、ファイナンスは成長のための欠かせない武器となっている。その一方で、「資本政策」の失敗により、困難な現実に直面する可能性があることも事実だ。
「資本政策」とは一般的に、事業成長に必要な資金調達を実行するための施策のこと。株式上場を目指す会社の資本政策は、上場後の株式の流動性を念頭に置きながら、「事業計画」「株主構成」「資金調達計画」「意思決定権の所在」「創業者を含む既存株主の利潤の実現」等、さまざまな項目を考慮し、第三者割当増資や株式譲渡、新株予約権の発行等の方法により、株主構成、資本規模の適正化を図ることである。
 仔細を正せば、上記のような説明になるが、起業家にとって、資本政策と向き合うことは、概して“自社をどうしていきたいかを考えること”と同義となるはずだ。
 現在、急成長中のベンチャーはどのように資本政策と向き合ってきたのか。「ファイナンスの力」を成功につなげた3社のベンチャー起業家に、それぞれが描いた資本政策と、彼らが直面した現実について聞いた。
最前線の投資家や起業家を訪ね、激動のビジネスを巡る連載企画「スタートアップ新時代」。創業期のスタートアップをPowerful Backingするアメリカン・エキスプレスとNewsPicks Brand Designの特別プログラムをお届けします。
「資本政策はチームビルディングそのもの」
「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げ、2011年に創業した「PLAID」。サイト来訪者の特徴や行動をリアルタイムに解析し、個々の来訪者に合わせたCXをウェブ上で提供する「KARTE」などのサービスを提供している。計3回にわたる資金調達において、同社はどのような戦略の下で27億円を獲得してきたのか。同社代表取締役の倉橋健太氏に聞いた。
──創業当初の資金調達は、順調でしたか。苦労した点はありますか。
倉橋健太 最初は、VCからの株式による資金調達(エクイティファイナンス)でした。弊社の場合、サービスリリースの約1年前にシードで1.5億円を調達し、リリース直後にシリーズAを実施し5億円を調達しました。
 苦労した点といえば、一般的な事業フェーズと比べ早いタイミングで大きめの調達に動いたため、実態がはるかに追いついていなかったこと。つまりクライアントや投資家などへの対外的な事業の見せ方、伝え方について工夫が必要でした。
 意識したポイントは3つあります。
 1. 超長期視点での大きな絵
 2. そこに至るプロセスの合理性
 3. 確かな1歩目
 この3点をしっかりと伝えることです。夢を大きく語りつつ、そこに至るストーリーを定性・定量の面から緻密に語ることを意識しました。加えて、クライアントの足元の課題を確実に解決できることを示すことで、新規顧客の獲得と市場エントリーにおけるフィージビリティ(実現可能性)を証明していきました。
倉橋健太(くらはし・けんた)PLAID CEO:2005年に楽天に新卒入社し、楽天市場事業でウェブディレクション、AD戦略、MD戦略、モバイル戦略などを担当。2011年にプレイドを創業し、2015年3月にCX Platform KARTEをリリース。EC・人材・不動産・金融など幅広い業種で導入が進み、サービス開始から4年でのべ42億UUを解析。Deloitte Fast50 2018、Forbes Cloud Ranking等で上位入賞。
──創業後、資本政策を描いたタイミングはいつ頃でしたか。
 私たちにとっての資本政策とは、「どのような仲間と、どこまで行きたいのか」を考え、「ミッション・ビジョンに到るルート」を思考することを意味します。この考えの下で具体的にファイナンス戦略やスタンスの整理に着手したのは、シードの資金調達実施について検討を開始したタイミングでした。
 そこで出た方針は、「しっかりとしたプロダクト開発と事業検証期間を設けるため、細かく刻まず初回ラウンドから大きく資金調達を行うこと」と、「投資家とは超長期視点での事業展開に合意すること」です。
 これらの方針は、狭い視野で考えてしまうことにより起こる、後戻りできない類の意思決定の間違いを防ぐとともに、長期成長に向けた経営基盤を構築するためです。
──ファイナンスに精通する人材は当初からいましたか。
 弊社はフェムトパートナーズの磯崎哲也さんから初回投資をいただいたのですが、社内にファイナンスのプロが当初からいたわけではありません。
 初回ファイナンス時はフェムトさんと交渉しつつも素直に教えを請う、そんなスタートだったと記憶していて、投資交渉中からフェムトさんとはチームのような感覚がありました。2回目以降の資金調達については磯崎さんに非常に大きくバックアップいただき、より強くブレないファイナンス戦略の構築と実行が可能になりました。
──戦略を実行に移したとき、理想と現実にギャップはありましたか?
 ありがたいことに概ね理想に近い状態で進捗したと思います。資金調達の成立ありきではなく、あくまで事業ミッションありきでスタンスを一貫したことで、価値観と夢を共有できる投資家・支援者を得ることができ、これまで長期視点での事業運営を継続できています。
 ただ、スタートアップ側が実施したい資本政策がある一方で、投資家側には経験と各社に比較的共通した相場観があり、そこは大きなギャップが生まれやすいことも事実です。
 特に事業実態が十分に伴わない初期の資金調達においてはギャップが大きく、我々の場合は投資家側の大胆なリスクテイクを引き出すために、綿密なコミュニケーションをする必要がありました。
──資本政策で用いたテクニックについて、特徴的なことがあれば教えてください。
 相手の期待値を高めるため、優先株式※をベースにした交渉を意識的に行いました。先方が譲歩できないと考えられる条項(優先株式のスキーム等、株式に関する事項)と、譲歩の可能性がある条項(会社のガバナンスや事業遂行に関する事項)に分け、交渉を行いました。
※優先株式:普通株式とは異なる条件や権利を付した種類株式のうち、普通株式に比べて、剰余金の配当を優先的に受ける、あるいは残余財産の分配を優先的に受ける、あるいは両方について優先的に受ける、という権利をもつ株式のこと。
 事業成長の意思決定に関わるこちら側の裁量は最大限担保し、ベンチャーキャピタル側のリスクヘッジ項目とバランスをとっています。
 また、2回目3回目とラウンドが進む中で、前回ラウンドの条項の改定、または緩和を適宜議論し、会社とステークホルダーの目線ができる限り一致していくよう、理想状態を追う努力を続けています。
──これから成長を目指すスタートアップの起業家に、資本政策においてアドバイスするなら、何を伝えますか。
 資本政策および資金調達は会社にとってのチームビルディングそのものです。何を成し遂げたいのか、その思いと目的に素直にあり続け、会社と事業の夢に共感し共にチャレンジする仲間を見つけることに他なりません。
 正しいチャレンジである限り必ず仲間は見つかると思います。全員を振り向かせる必要は全くないし、自分たちを信じて賭けてくれる仲間がほしいはず。不可逆性の高い領域だからこそ、一般論や表層の条件に惑わされず、自分自身が掲げたことにコミットしてください。
「投資家目線と起業家目線のギャップを痛感した」
「世界に貢献する投資」を目指し、ソーシャルレンディングを行うプラットフォームを構築した「クラウドクレジット」。2014年6月から2019年6月までに、累計約200億円のファンドを運用し、グローバルに投資を行っている。 同社代表取締役の杉山智行氏は、創業当初に直面した資金調達の難しさについて、「1勝30敗」と表現した。
──創業当初の初めての資金調達はどのように行いましたか?
杉山智行 私が創業した2013年当時は、まだ今ほどスタートアップに対する投資が活発ではなかったのですが、幸運なことに顧問税理士の先生からフェムトパートナーズの磯崎哲也さんをご紹介いただけ、Femto Startup LLP(フェムトパートナーズが手がけるシード・ベンチャー向けVC)から出資していただくことができました。シード・ラウンドでは、親族、VC、CVCから計4500万円を調達しています。
杉山智行(すぎやま・ともゆき)クラウドクレジット株式会社代表取締役社長:2005年東京大学法学部卒業後、大和証券SMBCに入社し、金利、為替の自己勘定取引チームで日本国債への投資業務等に携わる。2008年ロイズ銀行東京支社に入行し、資金部長として支社経営陣に対してリテール預金の獲得など日本での事業機会について助言を行う一方、運用子会社の日本における代表および運用責任者を兼任。2013年1月にクラウドクレジット株式会社を設立し、投資型クラウドファンディング・サービスを展開。日本の個人投資家と世界の資金需要者がWin-Winの関係を作るサポートを行う。
──次のラウンドはいかがでしたか?
 当社は、シード・ラウンドで、思いのほか資金を集めるのに苦労しました。クラウドクレジットのビジネスモデルは、日本で不特定多数の個人からお金を集めて、世界中の企業や個人に貸し出すというものです。
 当時はまだ、フィンテックという言葉も一般的に認知されていませんでしたから、「詐欺の危険はないのか?」といった心配をされることが多かったのです。
 私は、最初に出会った投資家が磯崎さんだったこともあり、投資家(VC)とはビジョナリストで日本を1日も早くシリコンバレーに追いつかせようとしている人々、というイメージだったのですが、実際にはそういう流派の投資家は日本ではまだ少数派ということにやがて気づきました。投資家によっては、キャリアに傷がつく可能性がある投資には積極的になれないという事情もあるのだと思います。
 そういう背景もあり、シード・ラウンドでは磯崎さんのサポートを頂きながら投資家のダウンサイドを軽減できる「みなし優先株式」※での調達を行いました。その後「A種優先株式」※に転換したため、当社はシリーズAがなく(笑)、シード・ラウンドの次はシリーズBとなっています。
※みなし優先株式:会社法上の普通株式であるが、契約で優先株式と同様の性質を付与されている株式のこと(『起業のエクイティ・ファイナンス』磯崎哲也より)
※A種優先株式:優先株式が交付される時期に応じて「A種優先株」「B種優先株」などと付与される名称。一般的に、後から発行する優先株の方が、前に発行した優先株に優先するケースが多い。
──シリーズCは学校法人からの出資もあるようですが、経緯を教えてください。
 先日の磯崎さんのインタビューの中で「シリーズBが一番難しい」とおっしゃっていますが、当社の場合も、通常のシリーズBにあたるシリーズCで、最初に期待していたVCとの調達交渉が全滅してしまいました。
 そんな中で、あるエンジェル投資家の方にベンチャー投資も積極的に行っている学校法人をご紹介いただけ、その学校法人さんとエンジェル投資家の方々でのシンジケートから3億円弱を投資していただくことができました。
【磯崎哲也】起業家は本能的恐怖と100億円でできることをイメージする力が必要だ
 また、当初想定をしていた調達を行えなかったことから資金繰りの見込みがくるってしまったため、既存の株主の方に追加出資を頂いたり、磯崎さんのファンドから状況を鑑みた設計のCB(転換社債)※で1億円の投資を行っていただいたりもしています。この転換社債は、その後5000万円分は返済し、残りの5000万円は当社の株式に転換させていただいています。
※CB(転換社債):正式名称「転換社債型新株予約権付社債」。社債に新株予約権が付された形態で発行される、株式と債券の2つの特徴をあわせ持ったもの。
 このように、当社の「シリーズB越え」は、ミッション、ビジョンを信じてくださる投資家の方々と新しいベンチャー・ファイナンスの仕組みの2つが合わさって達成することができた、といえます。
──当時、ファイナンスに精通する人材は社内にいなかったのでしょうか。
 シリーズCまでは社内にプロCFOがいなかったので上記のようなてんやわんやの状況でしたが、ちょうどシリーズCをクローズしてすぐのタイミングでプロCFOに参画してもらうことができました。
 彼は私が新卒で入社した会社の同期だったのですが、たまたま私がCFOを必死に探していた頃に、彼から「ベンチャーのCFOになりたい」との連絡をもらい、「それなら是非当社に参画してくれ!」という流れで参画してもらうことができました。
──CFOの必要性を感じた理由を教えてください。
 思い返せば、シリーズCのときは、ギリギリのタイミングで巡り合わせよくサポートをいただくことによって調達をクローズすることができましたが、あれは奇跡だと考えました。奇跡が何度も起こることを前提にするわけにはいきませんから、プロCFOの必要性は本当に切実に感じました。
 実際、プロCFOが参画したことで、資金調達の状況は一変しました。私が自ら動いていた頃の調達交渉は「1勝30敗」という状況だったのですが、プロCFOが加わってからはほぼ全部の商談で投資家の方からの出資を頂けています。
──なぜ、それだけの変化があったのでしょうか。
 もちろん私とプロCFOの間のエグゼキューション力の差の一言で済ますこともできるのですが、やはり、財務モデルを用いて事業・経営を数字で可視化し、ミッションやビジョンだけでなく「投資家の方が知りたい情報」を的確に伝えられるようになったことが大きいと思います。
 起業家の目線と投資家の目線には、確実に大きなギャップがあります。起業家は人生をかけてミッションの達成に向けてチャレンジしていますから、ビジネスの可能性を心から信じています。ところが、投資家は起業家に突然アドレナリン全開でその可能性を語られても、それだけでその事業に賭けようという方は多くはないと思います。
 起業家がいくら「なぜ理解してくれないんだ!」と思ったところで、投資家が知りたい情報を投資家の言語で見せなければ、投資家に理解してもらうことはできません。
 このことを私自身が痛感したのは、クラウドクレジット自体が投資(融資)を行う会社である中で、本業として投資の検討を行っているときでした。ラテンアメリカの農業事業者の方に事業の説明を頂いていた際に、事業者の方が「当社のこの技術はこれこれこういう仕組みで、農作物のこの部分を通常よりもこんなにも発育させられる」ということを延々と熱弁されたのです。
 でも、私にはその技術の詳細な仕組みや、通常よりも農作物が発育していることによる業界におけるアドバンテージがどれくらいなのかはわからない。そのアドバンテージによって、どれくらい超過収益が得られ、その結果どういう事業成長をどの程度の確度で描けるのかを説明していただかないと、特に融資というアップサイドが金利収入のみに限られているものだと、投資を行うことは難しくなります。
 私たちはアジア・アフリカ・中南米などの成長国に、日本から資金を投資することで、世界中で本当にお金を必要としている人や事業者の未来を増やし、世界経済も成長させて、投資家に還元する。そんな「世界に貢献する投資」を実現するプラットフォームを目指しています。日本で眠っているお金が、世界で活躍して還ってくる。そのロマンを熱弁していた過去の自分の姿が、ラテンアメリカの農業事業者の方に重なりました。
 イノベーションを狙うベンチャーも、私やこの農業事業者の方と同じような罠にはまりがちです。理想とする資本政策を実現するには、投資家の気持ちを理解し、同じ言語でビジネスを語らなくてはならない。これが、私が起業して学んだことです。
「VC、株主選びは結婚と同じ」
社会課題をICTと先端技術の力で解決すべく、介護領域や障害児童教育領域でサービスを提供している「ウェルモ」。同社の代表取締役CEOである鹿野佑介氏は、大学時代に金融を専攻した経歴をもつ。理論と現実には、どのようなギャップがあったのか、話を聞いた。
──創業当初の初めての資金調達は何から行いましたか?
鹿野佑介 大阪出身で東京から引っ越し、地縁のない福岡で起業したので、地場VCや金融機関の名前すら知らずネットワーク作りが大変でした。自己資金、日本政策金融公庫からの融資や、友人からの出資でシードラウンドまでの半年強の開発期間を耐えました。
鹿野佑介(かの・ゆうすけ)株式会社ウェルモ 代表取締役CEO:大阪府豊中市出身。2013年ウェルモを創業。ソーシャルビジネスとベンチャー企業のファイナンス手法を混ぜ込んだビジネスモデルを構築し、ソーシャルスタートアップとして資本主義の在り方を検討している。Forbes JAPAN 2018 NEW INNOVATOR 日本の担い手99選出。経済産業省主催ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019で最多受賞。経済産業省 オープンデータラウンドテーブル、つながるデータで築く未来、総務省 データアカデミー、地域ICT利活用普及促進セミナー、文部科学省「Society5.0に対応した高度技術人材育成事業」で、スマートライフケアIoT事例講義等の講師を務める。
──当初は、どのようなファイナンス戦略を描いていたのでしょうか。
 シードラウンドの時点で自ら複数のシナリオを描いていました。
 具体的には、CB(転換社債)やMSCB(発行後に株価を反映して転換価額が修正される条項のついた転換社債)を主にすることで、株主等のコミュニケーションコストを下げ、機動力のある経営権を確保し事業を加速させ、それなりの時価総額水準まで来た段階で優先株へ転換。
 これにより資金調達初期の低いバリュエーション(時価総額)による希薄化を抑えつつ、上場までのスケール資金を大きく調達するというエクイティストーリーを複数描いていました。
──かなり綿密な資本政策を組み立てていらしたのですね。
 幸いにして、私が学生時代から金融を専攻し、趣味でしたから。弊社の資本政策の基礎に据えているのは、ジョージ・ソロスの「再帰性理論」です。弊社にとっての資本政策を一言で表すと、「非上場株式の価格形成に関する、再帰性理論の実践」にほかなりません。
 再帰性理論を簡単に説明すると、「投資家の認識と実態の価値は一致しない」というものですが、この理論をもとに、官製市場で長期的にスケールできる、ロビーイングも含めたしっかり掘れる資金調達量を確保することを重視したモデルを描いています。
 また、VCの助言や、多くの方から多大な協力を得て、安定的な経営基盤を構築すべく創業者の持分比率を高めるスキームを導入しています。コンバーチブルノート(事前に定められた転換価格によって株式に転換できる権利が付された社債)も多用しています。
──資本政策で描いた理想に対し、現実はどのようなものでしたか?
 事業がついてこないと、どれだけ綺麗にファイナンス戦略を描いていても実行できないので、かなりファイナンス戦略の修正を要しました。
 特にインパクトが大きかったのは、シード後に顧客の声をもとに、ビジネスは同一ながら収益モデルを変えたときです。月額課金モデルからフリーミアムに切り替えを行ったので、売り上げに対する将来予測の蓋然性の説明が変わることから直後の調達で大変苦労しました。
 また、創業2年目に、政府系ファンドの出資の契約条件の折り合いがつかず、最終的に条件を飲まずキャッシュアウトし、シードラウンドをやり直すという致命的なVC選定ミスを犯したこともあります。あの時は、民間と大きく思想が異なることを学びました。
──これから成長を目指すスタートアップの起業家に、資本政策についてアドバイスするなら、なにを伝えますか。
 上記でも触れていますが、大学のときの専攻が金融で投資銀行等にもインターンシップに行っていたので最低限の上場後のIR戦略イメージやファイナンスリテラシーがあったのが幸運でした。
 資本政策は経営権に関する非常に重要なものなので、起業する前に徹底的に学び、かつリアリティのある失敗談を様々な人から聞くことをおすすめします。解任されている創業者の方をここ6年でたくさん見てきましたが、資本政策によっては、そうした事態が起き得るということを自覚することも大切です。
 特にVCや株主選びは、結婚と同じで「相性がすべて」と言っても過言ではないので、投資額の多寡ではなく、ビジョン、ミッション、資本政策の方針、株主資本主義に対する考え方の相違や担当者の人柄、人事異動などを考慮し、本当に向いている方向が中長期で同じかを見極めることを意識してみるといいでしょう。
 その時に、投資を受けた後に、同じ船の運命共同体のメンバーとして本音で向き合えるか、一緒に汗をかいて信じて走れるかをイメージしてみてください。誰が仲間(株主)としてふさわしいかが見えてくるかと思います。
 素晴らしい投資家と出会えることを祈っています。
「起業のファイナンス最前線」を学ぶパワーゼミを開催。ぜひご応募ください。
【募集終了】起業家のためのクリティカル・ファイナンスゼミ開催
(編集:中島洋一 構成:小林義崇 デザイン:堤香菜)