[モスクワ 20日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は20日、テレビを通じた毎年恒例の国民との直接対話を行い、賃金が下げ止まる兆しがあると説明し、政府プログラムにより生活水準は向上すると強調した。

プーチン氏は昨年の大統領選で再選を決めた。任期満了の2024年まで四半世紀近くにわたって長期支配することになる。ただ、年金制度改革を巡り支持率は落ち込んでいる。

4時間を超えた直接対話では、低賃金やヘルスケアの問題など、国民に直結する様々な質問が寄せられた。

サマラ地域に住む人からは、月給1万ルーブル(158.07ドル)でどのように家族を養えばいいのか、暮らしはいつ楽になるのか、との電話があった。プーチン氏は「実質賃金がここ数年下落しているのは事実だ。2016年に最も下げた。ただ、徐々に回復しつつある」と述べ、エネルギー相場の変動が賃金下落の要因だと説明した。

政府プログラム「National Projects」により生活水準は改善するとし、このプログラムの成果が今年、来年と実感できると説明した。

国民の生活は自身が政権の座に就く前の1990年代よりははるかに良くなっているとし、「1990年代のように給与が半年間も支払われないようなことは今はない」と強調した。

支持率低迷につながった年金制度改革については、少子高齢化が進み労働力が縮小するなか、健全な財政を維持するためには不可欠だと説明した。

政府は退職年齢を男性は60歳から65歳、女性は55歳から60歳に引き上げた。その結果、2015年に過去最高の90%近くあったプーチン氏の支持率は64%に落ち込んでいる。

国民との対話は主に国内の課題に集中したが、トランプ米大統領との会談にも言及。トランプ氏が望むなら米ロ首脳会談に臨む用意があると述べた。

ただ、トランプ氏が2020年の大統領選への出馬を正式に表明したことで米ロ関係が複雑になる可能性があるとの見方も示した。