【提言】中国を知ることは、世界の「ネクスト」を知ることだ
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「中国は遅れた国なのか、進んだ国なのか?」
今、多くの日本人が気になっているテーマです。中国ってダメダメで遅れた国という話だったのが、最近はともかく最先端ですごい企業やビジネスがごろごろという報道ばかり。どっちが本当なの?
と混乱するのも当然でしょう。問題は私たちの視座にあります。
日本をはじめとする先進国が、AからB、C、D、E……と社会を発展させてきたのに対し、中国をはじめとする途上国は「あ、今の最先端はEなんや。うちはまだBの段階だけど、直接Eを狙うで~」と、一足飛びに先を狙う。これをリープフロッグ(カエル飛び)といいますが、先進国と途上国では歩んでいるルートが異なるために遅れた/進んだという評価ができないことが多いのです。
そして、一足飛びに最先端を狙う途上国のビジネスからは、先進国にはなかった新しいアイデアが成功することもあります。そのアイデアを真摯に学ぶ必要があるのではないでしょうか。
たとえば電脳チャイナでも取りあげたワイマイ(出前代行)。「面白いけど、人件費が安い中国だからできることですね。日本とは関係ない」という感想の方が多いようです。なるほど、ワイマイが成り立つのは中国特有の事情もあります。ですが、中国人の目から日本を見ると、「日本のコンビニは最高だなぁ。めちゃ便利でどこにでもある。でも地代と人件費を支払うのは無理で、だからコンビニビジネスが最近岐路に立たされているんだな。中国にはできないビジネスですね」という感想も出てきます。
固定観念にとらわれず、フラットにまずは事実を知ること。そして日本人の常識とは違う考え方を知ること。こうした態度が必要ではないでしょうか。中国専門のジャーナリストとして、中国を紹介、分析、研究することと同時に、日本の固定観念を破壊することでもお役に立てたらと思っています。
今回、協力させていただいた電脳チャイナの取材は楽しいものでした。また、どこかで読者の皆さんとお会いできましたら。後会有期!(またどこかでお会いしましょう)「日本が中国のトップエリートと競う」のはむずかしいでしょうね。というよりも、今は国単位で競うというのはそれほど費用対効果が大きいやり方ではないし、日本は一国だけで戦って世界のトップに立てる国ではありません。少なくとも、研究開発や起業に携わる人間は、世界中から好待遇で招いてどんどん入れていく方がよいでしょう。
中国は、一国の戦いでは世界のトップにも立てる国ですが、本当の盟友がいないのが弱点といえます。研究開発においても、人材養成は米国に依存している面が大きく、もし中国人の米国への留学が制限されれば、行き詰まりが予想されます。
日本は、まだ研究開発において米国とより強固なパートナーシップを組むことも可能だし、独仏あたりと強固な協力関係をつくっていくこともできます。やり方を転換して、中国と研究開発や人材育成、経済において融合していくということもできなくはありません。14億人の人口を抱える中国で起きていることは、ポジティブにも、ネガティブにも、世界の大きなトレンドになっています。NewsPicksはそんな中国のリーダーたち「トップ1%」に注目をして、今回の電脳チャイナの特集をつづけてきました。
思えばハーバード大学やスタンフォード大学という名前は、日本人はよく知っているものの、清華大学というアジアトップの最高学府について、理解している人がどれでけいるでしょうか。この精華大学はいまや中国の習近平国家主席の出身大学というだけでなく、アジア各国の次世代のリーダーたちが集まって、活発な議論をしています。
爆速で変化する中国とアジアを、NewsPicksは新しい表現手法で、これからもお届けしたいと思っています。2週間にわたる特集をみてくださった皆さま、ありがとうございました。