[ブラジリア 19日 ロイター] - ブラジル中央銀行は19日、政策金利を予想通り過去最低の6.5%に据え置いた。経済改革を巡る疑念から政策緩和のシグナルは送らなかった。

ただ改革を巡る不透明感がなければ、政策当局者が描くシナリオは弱い経済成長で、経済のかなりの緩みが国内のインフレに下向きの圧力を与えるというもので、これに加えて海外では主要先進国で金利の先安感がある。

中銀は、前回5月の声明にあった、政策スタンスを変更するかどうかを判断する前に経済動向を分析するとの文言を削除した。

据え置きは全会一致の決定で10会合連続。ロイターが19人のエコノミストを対象に実施した調査では、18人が据え置きを予想していた。

中銀は、景気回復ペースは失速しており、インフレを巡るリスクは好ましい状態にあると指摘。ただ、議会でのプロセスが遅々として進まない社会保障の見直しなど、経済改革の先行きが引き続き不透明感だとの認識を示した。

声明は「ブラジル経済における改革の継続と必要な調整を巡り不満が募る可能性があり、リスクプレミアムに影響を及ぼしてインフレ見通しが上向く可能性がある」と指摘。

「リスクバランスは好ましい展開となっているものの、現時点では(改革)リスクが上回っている」とした。

XPインベスティメントス(サンパウロ)の首席エコノミスト、Zeina Latif氏は、金利据え置き決定は適切だったとした上で、7月下旬の次回会合で政策当局者はスタンスを変更するかもしれない、との見方を示した。

「経済は非常に脆弱で、景気後退(リセッション)に陥るリスクがあるが、中銀の目標はインフレ率に関するものだ」と指摘し、中銀は弱い経済と改革を巡る政治の不透明感の板ばさみになっていると述べた。

「今は利下げの時ではない。改革によるインフレや為替レート、インフレ期待への影響を見極める必要がある。年金制度の改革が承認されれば、中銀は次回会合で強いシグナルを発することが可能だ」と説明した。

ブラジルの第1・四半期の経済は縮小し、2016年以来のマイナス成長を記録した。これまで発表された第2・四半期の経済指標は、ブラジル経済が再びリセッション入りする可能性を示している。

市場では年内の利下げ観測が浮上している。中銀の週間調査によると、エコノミストは現在、政策金利が年末時点で5.75%になると予想している。

*内容を追加しました。