自動車産業デジタルシフトの最新動向:田中道昭氏 中国レポート
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私は4月に中国のシリコンバレーとも呼ばれている深圳に出張しました。
深圳交通運輸局では、本年1月に2万1000台を超えるタクシーの99%がEV車となったことを発表していますがが、実際にも出張中に見かけたのは深圳に本社を構えるEV車及びEV用バッテリー企業であるBYD(比亜迪汽車)のEVタクシーばかり。数時間かけてようやく探し当てたEV車ではない車、それだけが日本車でした。
EV車の普及やライドシェアの進まない日本では、こうした世界の正確な情報はほとんど伝わっていません。それどころかいまだにEV車の普及に懐疑的な意見も散見されます。しかし残念ながら、すでに中国市場に日本車の出る幕はなくなりつつあります。それは、中国政府が、同国を数年以内に「自動車強国」にしようとする計画を発表していることも裏付けています。EVシフトはその最有力施策なのです。
深圳で目の当たりにしたEVタクシーの状況は「深圳EV大国の衝撃」というべきショックでした。筆者は、日本メーカーのこれからを深く危惧せざるを得ませんでした。
今ここで、「深圳は例外」、「タクシーは例外」と考えるのか、組織的に危機感を高めて対処をスピードアップするのかで、3年後には大きな結果として表れるのは明白でしょう。
自動運転車は中国メガテック企業の進化の一例に過ぎません。これらの企業の進化の状況をリサーチ、分析し、日本や日本企業の活路を探っていくことが微力ながらも自分自身の本分であると考えています。そんな使命感を新たにする出張でした。国策の中で政府と民間企業が連携して自動運転、EV車化を推し進めて、短期間で世界の中で一歩も二歩もリードしているのがバイドゥだということがわかります。今までの自動車産業は、優れたエンジンを開発しコストを抑えて生産できるメーカーが優位でしたが、その構造は破壊され、モーターとAIが競争力の鍵となるのだと思います。自動車メーカーの主導権が微妙になりつつある、そして、世界ではそのスピードが早まっているんですね。日本の自動車メーカーにも頑張ってほしいです。
以下、引用
中国は次世代人工知能の開放・革新プラットフォーム(国家新一代人工智能解放創新平台)の国家プロジェクトを進めており、「2030年には人工知能の分野で中国が世界の最先端になる」と宣言しています。米中の摩擦を生んだ国家威信プロジェクトの中で、その自動運転事業を委託されたのが、バイドゥだったのです。田中先生の指摘「中国のテックジャイアントを意識している人は少ない」は実感あります。特に日本との違いでは社会実験において世論を気にしなくていいのは相当大きい
"自動運転バスの社会実装を実現したバイドゥは、一歩抜け出した感があります"