[東京 17日 ロイター] - 経営再建中の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)<6740.T>は17日、最大800億円の出資受け入れに合意していた中国、台湾計3社の企業連合のうち、台湾のタッチパネル大手TPKホールディング<3673.TW>から出資見送りの通知を受けたと発表した。ただ、香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが新たに企業連合に加わることなどから、調達額に変更はないとしている。

今回、台中連合から離脱したTPKは2億3000万ドル出資する予定だった。離脱の理由は明らかにしていない。これに対して、新たに加わるオアシス・マネジメントは1億5000万ドル出資する方針で、出資の実行に必要な内部の機関決定を27日までに行う予定。

一方、台中連合のうち、台湾の投資会社CGLグループ(出資予定額1億3000万ドル)からはいまだ機関決定をした旨の連絡は来ていないという。

こうした中、中国の投資会社ハーベスト・テック・インベストメント・マネジメントは、出資予定金額1億9000万ドルを2億ドルに増額した上で、27日までに機関決定するとJDIに通知した。

ハーベストはさらにTPKとオアシスの差額と台湾の投資会社が離脱した場合の不足額(8000万ドルと1億3000万ドルを加えた金額からハーベストが増額する1000万ドルを差し引いた最大2億ドル)の追加出資や、JDIが資金需要に応じて発行する可能性のある第3回新株予約権付社債200億円の引き受けについても機関決定する方針。

JDIによると、台中連合の他に、国内の事業会社などを中心としたグループや海外の事業会社からも出資の意向表明を受けているという。

JDIは2019年3月期まで5期連続の最終赤字に陥っており、事業構造改革と財務基盤の強化が急務となっている。オアシスの参加とハーベストの増額が正式に決まれば目先の資金繰りはめどがつくが、台中連合は再三にわたり機関決定を先送りしており、発表通りにことが運ぶか不透明感も漂う。仮に資金繰りが一服ついたとしても成長に陰りが見えるスマートフォン向け液晶に依存する事業構造に変わりはなく、当分は厳しいかじ取りが続きそうだ。

*内容を追加しました。

(志田義寧 編集:平田紀之)