航空機の乱気流の揺れ、実はパイロットのミス…ベルト着用サインをナメると命の危険
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では,将来,技術によって機体の動揺をどのように抑えていこうとしているのかを紹介すると,まず初めに,レーザーライダーによる晴天乱気流CAT(記事中は「青天」とあるが「晴天」のほうがより正しい)の検出である.
「見えない乱気流から飛行機を守れ 過去に死傷事故、JAXAとボーイングが検知実験開始」
https://newspicks.com/news/2959582?ref=user_2112738
記事ではCATの大部分はCb(Cumulonimbus)と言っているが,このように目で見える乱気流域は対応できる.問題は,大部分以外の目に見えないCATである.大気中に浮遊するエアロゾルの動きをレーザー反射のドップラー効果で計測する,新しい検出器が実用化一歩前に来ている.
さらに,そこで検出された乱気流域を回避する経路を生成し,自動飛行で回避するか,あるいはパイロットに提案してサポートするシステムの研究が進められている.
もし回避できずに乱気流域に突っ込んでしまった場合,あるいはそうせざる得ない場合はどうするか.予見制御により,風のタイミングに合わせて舵面を動かして機体の動揺を抑える研究も進んでいます.すでに最新のボーイング機には動揺低減制御が入っている.今後,ライダーの実用化と合わせて新たな制御系を構築していくことになる.
また,現在,航空機はピトー管の1点のみで外気流れを計測している.もう少し未来では,生物の皮膚が触圧覚を感じ神経網を持っているように,IoT技術を駆使して機体表面に圧力センサを無数配置して接続し,機体表面上の空気流れを面で捉えることができるようになるでしょう.
さらに,制御舵面も昇降舵,方向舵,補助翼だけでなく,もっと多くの舵面を配置したり,機体形状が柔軟に変形するモーフィングによって,制御入力の数を無限に増やすようになるでしょう.つまり,無機物の航空機は鳥のような生物に寄っていくわけです(バイオミメティクスという).突然の突風に対して,フワッと機体を変形させて揺れがキャビンに伝わるのを抑えることができるようになるでしょう.
ところで常々思っているのだが,CAがキャビンを周って食事を配るという当たり前と思い込んでいる形式(儀式)は何とかできないのでしょうか.たしかに積乱雲の中に突っ込んでしまうのは、ある意味でパイロットのミスと言えなくはありません。しかし、積乱雲に好んで入るパイロットなど一人もいません。大体は、レーダーで見たところさほど強くなかったか、積乱雲が他の雲と混在していて見分けられなかったか、あるいは他の飛行機がいて避けさせてもらえなかったか、という場合がほとんどです。パイロットがぼーっとしていて気づかないという場合はほとんどないものと思います。
また、積乱雲による揺れはわかりやすいですが、晴天乱気流はそれではわかりません。ジェット気流の近くで気流が変わっているところや、上空の寒気により気温の変化が大きいところなどでは、性質の違う空気の層が水と油のように分かれており、そこで乱気流が発生していることが数多くあります。積乱雲の発達に伴って、積乱雲を避けてもその上の層で気流の変化が大きくなり揺れることもよくあります。むしろ、こうした揺れの方が航空機の運航中の揺れの大半を占めます。
パイロットも人間だからミスをすることもあるよ、だから乗客の皆さんも気をつけてください、というのが筆者の意見なのだろうとは思いますが、もう少し書き方を考えないとまるで業務上過失致傷を航空会社ぐるみでごまかしているかのように見えてしまいます。