世界で3秒に1本を売る、TENGAのアダルト革命
2019/6/16
表立って語られることが少ないアダルト産業。
しかし、国内のアダルトグッズの市場規模は2000億円に達する。これは国内映画の年間興行収入や、納豆とほぼ同じ規模だ。産業として無視できない規模に拡大している。
その市場をけん引するのがTENGA(本社・東京都港区)だ。
同社の年商は約70億円。海外展開も好調で、中国での年間売り上げは前年比約175%に上る。今、世界で3秒に1本、TENGA社の製品が売られていると言われている。
そのTENGAをゼロから創り上げた松本光一社長を、NewsPicks編集部が直撃。今後の戦略などを語ってもらった。
松本光一(まつもと・こういち)/TENGA社長
1967年、静岡県で生まれる。自動車整備の専門学校を卒業後、車の整備士や中古車販売などの仕事に携わる。既存のアダルトグッズの在り方に疑問を持ち、2005年にTENGAを創業。
1967年、静岡県で生まれる。自動車整備の専門学校を卒業後、車の整備士や中古車販売などの仕事に携わる。既存のアダルトグッズの在り方に疑問を持ち、2005年にTENGAを創業。
百貨店にアダルトグッズ
──今年3月、阪急メンズ東京(東京都千代田区)に、TENGAの常設店がオープンしました。百貨店にアダルトグッズの店舗ができたことが話題となっています。
松本 阪急メンズ東京から声をかけてもらい、出店が決まりました。
阪急メンズ東京は、高級品や衣類などといった百貨店の定番商品だけではなく、お客さんのニーズに合わせた、多様なライフスタイルを提案しています。
そうした中で、「男性の好きなものと言えばTENGA」ということで、声がかかりました。
僕は、2005年の創業時から一貫して、「性を表通りに」というビジョンを掲げてきました。百貨店は、まさに表通り。うれしかったです。
僕も、毎週末、1日はお店に立って接客しています。メーカーにとって、お客さんと直接話せる場は、とても貴重ですから。
阪急メンズ東京6階に入る店舗。同じフロアには、コムデギャルソンやアンダーカバーなど日本を代表するアパレルブランドが並ぶ(提供:TENGA)
──常設店の来店者層は。
今のところは、20代から30代の男性が中心です。
オナホール「TENGA」だけでなく、カップル向け商品やTシャツなども売っているので、男女のカップルで来る人もいます。2人組の女性も、たまに見かけます。
グループ会社のTENGAヘルスケアから発売している、膣内射精障害や早漏などを改善するための「メンズトレーニングカップ」という商品も置いているので、そういった状態に悩む人も来ます。
オナホールを買う人は、性に関する悩みや希望をスタッフに相談しながら、商品を選んでいます。
TENGAヘルスケアの商品(中央手前)
──TENGAのようなアダルトグッズは、ネットなどでこっそり買うイメージがあるので、対面で相談する人が多いのは意外です。
そういう悩みって、専門知識があって、かつ、身近ではない人の方が話しやすいと思うんですよね。だから、われわれに相談してくれるのかもしれません。
それに、自分の体に使うものだから、というのもあるでしょうね。みなさん、本当に真剣に話してくれます。
2018年の8月から9月にかけて、大阪の大丸梅田店で、女性向け商品「iroha」のポップアップストアを開いたときも、約1500人が来店しました。
女性用のアイテムを、女性が安心して手に取れる場所が少なかったからこそ、たくさんの人が来店したのだと思います。アダルトグッズを扱うお店は、女性が入りづらい雰囲気のところが多いですから。
海外で伸びている理由
──最近、TENGAはドラッグストアなどでも見かけるようになりました。売り上げも伸びているのでは。
前年度(2018年2月期)の連結売上高は69.76億円で、前年比125%でした。国内の売上は、前年比118%、海外は140%です。
今期の予算(目標)は91億円です。そして、2021年2月期には、100億円を超える見通しです。
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