【総集編】ゼロから学べるAIの歴史

2019/6/21
 2014年11月から5年弱、日本IBMスポンサーの「イノベーション」タブでは、世の中を驚かす最先端技術や、常識を破る企業の挑戦の数々を伝えてきた。そのイノベーションタブがこの6月で、幕を閉じる。
 NewsPicks Brand Design では、イノベーションタブに掲載された記事を振り返る特集を企画。5年間で起きた技術の進化、社会の変容を顧みる。今回のテーマは、「AI」。
 AIの代表格であるIBMワトソンが歩んできた軌跡や、ビジネスへの活用方法を深く理解する記事5本を厳選。この5年間でIBMが目指すAIはどんな進化をとげ、どのように人間と共生してきたかを、振り返る(肩書きは記事掲載当時)。

1.ワトソンとは、何者か

 IBMが開発し、10年以上の歴史を持つワトソン。その名を知らない人はいないが、「ワトソンとは何者か?」と聞かれたら、答えに窮する人は多いのではないか。
 本記事では、ワトソンの仕組み、学習方法から、開発された経緯や拡大の歴史まで、分かりやすく図解している。
 ワトソンの強みは、人間の言葉を解析する「自然言語処理」。2015年当時は、その強みを生かした、医療現場やコールセンターでの活用事例を紹介。
 現在では、新卒採用のエントリーシート評価や、健康保険金の支払額の査定をワトソンが行うなど、活躍の幅を広げている。ワトソンの歩んできた軌跡を振り返ることができる1本だ。
インフォグラフィックで見るワトソンの軌跡

2. AIがクイズ番組で優勝できたワケ

 2011年2月、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」で、AIが人間を打ち負かしたというニュースに、世界が衝撃を受けた。そのAIこそ、ワトソンだ。
 従来のコンピュータは、データベースと照合して属性が完全に合致したものを正答とする仕組み。だが、それだけでは到底、曖昧な人間の言葉を理解し、クイズに正解することはできない。
 どんな技術革新を経て、ワトソンはクイズで人間に勝利できたのか。ワトソンの開発に長年携わってきた、日本IBM東京基礎研究所の武田浩一氏へのインタビューから、従来のコンピュータとワトソンの違い、AIの進化の道程を読み解く。
ワトソンと従来コンピュータの決定的な違いとは

3. 「まるで本物のトレーナー」は、どう実現したのか

「こんなダイエットメニューはどう?」「1万歩達成、いい感じ!」。健康作りをサポートする「FiNC」は、今では500万ダウンロードを超える、人気のヘルスケア・アプリだ。 
 本インタビューを敢行したのは、2016年1月。当時のアプリの特徴の一つは、まるで本物のトレーナーが隣にいるかのように話しかけるAI。
 今では、一方通行のアドバイスではなく、AIトレーナーとチャットボットでやりとりもできる。他にも、料理の写真をアップすれば自動で料理を識別し、カロリーを計算してくれる機能もある。
 AIを駆使し、ユーザーの使いやすさを突き詰めるFiNC。AIの進化とともに、ヘルスケアサービスはどう変わってきたのか。FiNCのCTO、南野充則氏が語る。
人工知能がリコメンドする「健康情報」は生活を変えるか

4. AI、実際どう使う?

 米IBMのシニアバイスプレジデントによると、「世界で生み出される情報の、9割は使われていない」という。企業に眠るデータを活用して、イノベーションを起こし続けるには、AIをどのように業務に生かせば良いだろうか。
 本記事では、ワトソンを導入した3社が、導入経緯とその後の変化を語る。コールセンターの平均対応時間を15%削減したソフトバンク、ワトソンを使ってエンジニアの知見の継承を試みるJR東日本、照会業務で1件あたり60円のコスト削減を実現した三井住友銀行の例を紹介していく。
ソフトバンク、JR、SMBCが語るWatsonの「リアル」

5. AIが「社会の一員」になる方法

 病気の診断や保険への加入可否判断も、AIが下すことができる現代。だが、AIがそう判断した理由が分からない、いわゆる「ブラックボックス」問題があっては、AIを信頼することは難しいだろう。この記事では、日本IBMのワトソンソリューション担当、田中孝氏が、AIの判断根拠を特定する難しさとその理由を語っている。
 現在IBMは、AIのブラックボックス化を軽減するためのクラウドサービス「Watson OpenScale」を提供。AIが公平でない判断を下した時にそれを検知し、なぜその判断に至ったのかを特定する機能を備えているほか、レコメンデーションする際には理由も表示してくれる。
 AIがさらに人々に受け入れられるために、必要な判断基準、機能は何なのか。改めて考えられる1本だろう。
「AIの中身はブラックボックス」なんて言わせない
ご紹介している記事は過去のものであり、登場する人物の肩書や組織は掲載当時のものです。
(構成・編集:金井明日香・久川桃子、デザイン:九喜洋介)