[ベルン 13日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は13日、米中通商摩擦によりスイスフランが上昇しているとし、超緩和的金融政策を維持した。また、3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)誘導目標レンジに代わりSNB政策金利を導入すると発表した。

ジョルダン総裁は外為市場の動向は「脆弱」とし、緩和策とマイナス金利を維持するとともに、必要に応じて引き続き市場介入する方針も示した。

総裁は会見で「米中の緊張が再び高まった5月に、スイスフランと円が上昇した」と指摘。「両通貨は不透明感の高い時期には安全通貨とみられる。高く評価されているスイスフランと状況が脆弱なことを踏まえ、マイナス金利とともに市場介入する方針は引き続き必要だ」と述べた。

中銀は、今月、対ユーロ<EURCHF=>で約2年ぶりの高水準を付けたスイスフランについて、依然として過大評価されているとの認識を示した。

他の中銀の緩和がスイスフランをさらに押し上げる可能性がある。

ジョルダン総裁は会見で、すでに超緩和的な金融政策をさらに緩和する余地があるとし「ショックに対応するため、金融政策を変更する余地は十分ある」と述べた。

中銀は、3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)誘導目標レンジに代わりSNB政策金利を導入すると発表。「今後は金融政策の決定と伝達にこの金利を利用する」とした。

SNB金利はマイナス0.75%に設定された。

中銀は声明で、政策金利を導入するのは、LIBORの今後が保証されないためと説明。有担保の短期のスイスフラン市場金利をSNB政策金利に近い水準に維持する意向を示した。

ジョルダン総裁は会見で「この調整は、現行の金融政策、特に緩和敵スタンスの変更を伴うものでない」と述べた。

<市場介入か>

キャピタル・エコノミクスのデビッド・オクスレー氏は、安全資産に対する需要に加え、欧州中央銀行(ECB)の政策緩和の影響でスイスフランが2020年にかけて上昇し続けると予想。

「中銀は、まず市場介入という形で対応するだろう。それでも、われわれの想定通りフランが上昇し続けるなら、マイナス金利の深堀りということになる」と述べた。

他のアナリストは、中銀が慎重に対応するとみている。

Jサフラ・サラシンのカルステン・ジュニウス氏は「中銀は声明で、一段の金利引き下げを急がない姿勢を示唆している」とし「外需の一段の減退やECBの利下げがなければ、中銀は当面、政策を維持すると予想する」と述べた。

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