遺伝子にとってのウェルビーイング:WHO IS WELL-BEING FOR〈1〉
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注目のコメント
遺伝子にとってのウェルビーングとは?というお題で、これまでで最もエキサイティングだった取材のうちの1つです。
・遺伝子にとってのウェルビーイングとは「ゆらぎ」。
・人間の主観的な観測系も、遺伝子がかたちづくっている。
・時間軸を踏まえたメタ認知によって、刹那の生物的欲求だけではないことが心地よさになる。
・ウェルビーイングという概念は、多分に主観的な概念であることを忘れた「主観による客観的ウェルビーイング」は危ない。
・ウェルビーイングを論じるとは、「わたしはこういう思考の枠で世界を考えている」ということを示すことと同じ。
ここまで文章化できたライターさんがすごい。最初この記事を見たとき、ウェルビーイングという聞きなれない単語の意味がわからず、コメントを躊躇してしまった。
遺伝子のウェルビーイングとは、「ある配列の遺伝子にとって良い状態が続くこと」のことだろうか? だとすれば、情報単位としての遺伝子にとってよい状態というのは自己の複製が増える状態そのものだろう。(それをもたらす進化学的要因についての説明は割愛)
読み進めていくとどうも単位としての遺伝子というより複数の遺伝子の集合体や、ゲノムぐらいの話をしているようでもあり、集合性の異なる単位がごっちゃになっているような気がする。やはりこういう議論をするのなら、先に議論する単語の意味を明確にしてからにしないと、それっぽいことを言う以上のものにならないように思う。
また、「個体が生き残って、種として繁栄していくという生命のミッションを達成していきます」という文章にかなり違和感がある。今の生物学で、種の繁栄が生命のミッションだという概念を使っていたのはいつの時代だろうか。種でなく遺伝子こそが進化的な主体であるというドーキンスが「利己的な遺伝子」で啓蒙した理論ですらすでに古典の域だ。一般人向けの語り口としては分からないでもないが、生物学者が話す内容としてはいささか誤解を生む表現だと思う。高橋さん素敵やー。
遺伝子にとってのウェルビーイングとは、生物学者の福岡伸一さんが言う生物における「動的平衡」のように、もとから“ゆらぎ”をもっている遺伝子の仕組みが、変化する外界の環境に対して適応していく状態、ということです。
刹那的な快楽──いわゆる「報酬系」と呼ばれるような、生物学的な意味での“生体反応”だけに必ずしも重きは置かれず、「時間軸」が大いに関係するものです。
#抜粋