(ブルームバーグ): ソフトバンクグループが10兆円規模の新たな投資ファンドの設立で米ゴールドマン・サックス・グループを起用し、7月にも投資家の募集を正式に開始する計画であることが複数の関係者への取材で分かった。

情報が非公開のため、匿名を条件に語った関係者によると、ソフトバンクGはゴールドマンに加え、英セントリカスや米キャンター・フィッツジェラルドを起用し、シンガポール、サウジアラビア、カザフスタン、オマーン、アブダビなどの政府系ファンドとビジョンファンド2号出資のための事前協議を行った。

2号ファンドの組成は、2020年3月末までに完了する計画だ。ソフトバンクG自体も400億ドルから500億ドル(約5兆4000億円)の出資を検討している。シンガポール政府投資公社(GIC)やカザフスタンの政府系ファンド、台湾の金融機関は、それぞれ20億ドル以上を拠出する可能性があるという。

1号ファンドでのソフトバンクGの出資額は281億ドルで、3月末時点の投資リターンは成功報酬を含め62%だった。孫正義社長が2号ファンドの組成を表明して以降、新たに10兆円規模の資金調達が可能かどうかに市場の注目が集まっている。

ソフトバンクGは複数の政府系ファンドから前向きな反応を得られたことで資金調達が順調に進むとみている。ただ協議は初期段階のためファンドの組成が遅れたり規模が小さくなったりする可能性もある。ソフトバンクGの広報担当者らは、募集の開始時期や出資の詳細などについてコメントを控えるとしている。

孫社長は5月の決算会見で、「ビジョンファンドに対する情熱が私の情熱の97%」と述べ、2号ファンドの組成準備に入ることを明らかにした。10兆円規模の1号ファンドと同程度の大きさになる、との見通しも示した。

1号ファンドの3月末時点の保有投資先は69銘柄。投資額601億ドルに対し、公正価値の合計は723億ドルだった。同社が筆頭株主の米配車サービス、ウーバー・テクノロジーズは5月にニューヨーク証券取引所へ新規上場した。

--取材協力:David Ramli、Donna Abu-Nasr、Fiona MacDonald、Pavel Alpeyev、Nariman Gizitdinov.

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