[ワシントン 11日 ロイター] - 米ニューヨーク州やカリフォルニア州など10州は、ソフトバンクグループ<9984.T>傘下の米携帯電話大手スプリント<S.N>とTモバイルUS<TMUS.O>による260億ドル規模の合併計画を巡り、競争の低下で消費者の負担が増えるとして差し止めを求め集団提訴した。

ニューヨーク州司法当局によると、10州はニューヨーク州南部地区連邦地裁に訴えを起こした。

両社の合併を巡っては、米司法省が近く最終決定を下す見通しとなっている。合併が実現すれば、全米規模の通信業者は4社から3社になる。2社は合併後も3年は値上げしないと主張している。

10州は訴状で、競争の低下により、スプリントとTモバイルの加入者には年間45億ドル以上のコスト負担になると主張。「スプリントとTモバイルの直接的な競争は価格引き下げやサービス向上、機能拡大につながってきた。合併が実現した場合、両社間の競争がなくなる」と指摘した。

ニューヨーク州のジェームズ司法長官は、会見で「企業の力に関して言えば、大きくなることが必ずしも良いとは限らない」と指摘。

「多くのニューヨーク州北部の住民にとって、(これらの通信会社は)はいまだに3Gで苦戦している」とし、両社の合併は通信塔や対象地域が増えることを保証するものではないと付け加えた。

また、訴訟は合併に関する司法省の決定に影響を与えることが目的ではないと説明。各州、司法省、通信事業者の間で協議が続いていることを明らかにした。

カリフォルニア州のベセラ司法長官は「Tモバイルが合併で市場を3社に縮小しようと試みるのはこれで3度目だ」と指摘。「そのたびに阻止されたり、撤回を余儀なくされたりしてきた。政府の反対が理由で、今回の訴訟と同様の懸念に基づいている」と語った。

Tモバイルとスプリントはコメントを控えた。米連邦通信委員会(FCC)のパイ委員長の報道官もコメントを控えた。司法省はコメント要請に応じていない。

ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ブレア・レビン氏は11日付のリサーチノートの中で、10州の訴訟が進めば、最終判断は司法省ではなく裁判所が下すことになると述べた。

米国株式市場でスプリントは5.9%、Tモバイルは1.6%、それぞれ下落した。

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