【新】マーク・ザッカーバーグの原点・転機・未来
2019/6/23
マーク・ザッカーバーグがハーバード大時代に、女子学生の顔写真を比べて人気投票するオンラインゲーム「フェイスマッシュ」を作ったのは2003年のこと。それが学生交流サービス「Facebook」に発展し、またたくまに全米の大学、高校、そして世界へと広がっていった。
いまや全世界の月間アクティブユーザー数が24億人にも達するFacebookだが、そのスケール戦略はどのようなものだったのか。
インタビューが行われたのは、個人情報の流出や政治広告が大きな問題になる前の2017年2月。ザッカーバーグが米大統領選に出馬するのではとささやかれていた時期で、インタビューでも、それらしき意欲をにおわせている。
いまや全世界の月間アクティブユーザー数が24億人にも達するFacebookだが、そのスケール戦略はどのようなものだったのか。
インタビューが行われたのは、個人情報の流出や政治広告が大きな問題になる前の2017年2月。ザッカーバーグが米大統領選に出馬するのではとささやかれていた時期で、インタビューでも、それらしき意欲をにおわせている。
リード・ホフマン 今日はFacebookの本社にお邪魔しています。お招きありがとう。
マーク・ザッカーバーグ ようこそ。
ホフマン まず、Facebookの前身ザックネットについて教えてください。
ザッカーバーグ 大昔ですね。前身と呼んでいいのかな。中学生のときのことです。
ハーバードに入ったばかりの頃は、空いた時間にいろいろなものを作りました。
そこから学んだのは、「人は自分のコミュニティの仲間に何が起きているか知りたいという強い渇望があるんだ」ということでした。
ザッカーバーグ 「フェイスマッシュ(Facemash)」といういたずらもしました(ランダムに学生2人の写真が映し出されて、どちらが魅力的か投票するもの)。
映画(『ソーシャル・ネットワーク』)に出てきた数少ない事実の一つです。
ホフマン Facebookの戦略は、「素早く動いて破壊せよ」から「安定したインフラで素早く動け」に進化しましたね。
ザッカーバーグ ええ、あまりキャッチーな表現ではありませんけどね。
Facebookが何より重視するのはスピードです。多くの組織は、「正直であれ」みたいな、どうでもいいことを重視しています。
ホフマン あなたは非常に厳しい目でプロダクトを評価して、成功させるスキルがあります。今ではFacebookの最大の特徴となったニュースフィードもそうです。
こうしたプロダクトを最適化するコツはどういうものなのでしょう。
ホフマン Facebookは、多くの企業が失敗した移行を数多く乗り越えてきました。デスクトップからモバイルへの移行もそうです。
ザッカーバーグ モバイルへの移行は非常に遅れていました。
でも、これをうまく乗り切らないと、モバイルという次のプラットフォーム、誰もがコネクトしたがっているプラットフォームに乗ることはできないことはわかっていました。
そこで、当時としては非常に難しい戦略的決断を下すことにしました。
ザッカーバーグ 一番重要なのは、最高の人材を確保することです。
ポテンシャルを最大限に発揮している偉大な会社と、ただの「かなりいい会社」の最大の違いは、そのトップが自分の周囲に、自分よりも優秀な人たちを置けるかどうかだと思います。
ザッカーバーグ 多くの戦略は、正しい問いができるかどうかで決まると思います。客観的に見て、「正しい質問項目」というものは、必ずしも存在しません。
重要なのは、「あなたはこの世界で何をしたいのか」です。
ザッカーバーグ ここ30〜40年で、現実のコミュニティは急速に減っています。
これは深刻な問題です。なぜならコミュニティは、人々のアイデンティティと価値観の非常に重要な部分を占め、世の中をまとめる社会的ファブリック(基本構造)の役割を果たすからです──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編翻訳・構成:藤原朝子、バナー写真:JESSICA CHOU/The New York Times、デザイン:今村 徹)