開発者が自身のがんを発見

超音波画像診断は、がんの発見から胎児の性別の判定まで、さまざまな診断で不可欠なものとなっている。
バタフライ・ネットワークの最高医療責任者であるジョン・マーティンは血管外科医だが、彼らは患者を超音波診断の場所に送り出し、結果を得るまで待たなければならなかった。ほかの方法はなかった。
というのも、超音波診断装置は高価、かつ場所を取る大きなもので、またその操作と診断には高い専門性が必要だったのだ。
バタフライ・ネットワークは、こうした構図を破壊した。携帯できる超音波診断装置「バタフライiQ(Butterfly iQ)」を開発し、超音波診断装置を広範に利用でき、またスマートフォンを扱う程度に簡単に使えるものにしたのだ。
価格も大幅に引き下げた。従来の装置が2万5000ドルから10万ドルだったのに対して、バタフライiQ1台の価格は2000ドルだ。今年度の販売台数は、昨年の業界全体の販売台数である3万台を上回る見込みだ。
バタフライiQは電気カミソリのような形をしている。実際、やがては家庭用として購入できるようになるという。
「超音波技術は病気のあらゆる段階で活用できる。発見にも、モニタリングにも、最も安全な治療方法の選択にも使える。可能性はほぼ無限だ」と話すマーティンは、バタフライiQを使って、自分のがんも発見した。

ゲイツ財団からも資金を調達

バタフライ・ネットワークのCEO、ジョナサン・ロスバーグはこれまでにもバイオテクのベンチャーを立ち上げてきた人物で、バタフライ・ネットワークは2011年に設立した。
先天性の稀な症状を発症している娘のために、よりよい画像診断技術を開発したいとの思いからだった。
同社の設立にあたっては、自己資金で2000万ドルを出資し、フィディリティやゲイツ財団からも資金を調達した(少なくとも、世界の人口の3分の2が画像診断技術を活用できていない。そのため、NGOがバタフライに関心を寄せている)。
バタフライiQに使われているAIの1つは機械学習を用いて画像を分析し、また別のAIが利用者の使い方を学習して、よりよい操作方法を利用者に教える。
マーティンは言う。「すべての操作は指1本で簡単に行うことができる」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Bill Saporito/Editor-at-large, Inc.、翻訳:東方雅美、写真:www.butterflynetwork.com)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.