[ワシントン 5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は5日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は回復している中でも、企業は世界的な貿易摩擦が事業の負担になることを懸念しているとの認識を示した。

ベージュブックによると、経済活動の伸びが「わずかに改善」していることが指摘され、4月から5月中旬にかけて「緩やか」だったと報告を受けたという。

一方、米中貿易摩擦を巡り懸念を示す企業が多かったとした。セントルイス地区は「中国との貿易問題に起因して伸びが鈍化したという包装産業からの報告があった」という。

今回のベージュブックは5月24日までの情報をもとに作成された。このため、トランプ米大統領が先週、不法移民対策が十分でないとしてメキシコからの輸入品に関税を課すと表明した後の混乱を反映していない。

それでも、中国やメキシコとの取引が多いダラス地区では、サービス産業の調査先がすでに懸念を示していた。

ベージュブックによると、「いくつかの調査先は米中貿易摩擦が解消されなければ需要の伸びが減ると指摘した。一方で、何社かは両国が合意に至り、長期的に見て米国の利益になるという前向きな見方を示した」という。

米経済はこの7月で景気拡大が10年に達する。拡大期間として過去最長だ。ただ米中貿易摩擦による関税の応酬で、米企業は支出を控えており、製造業が一段と鈍化している。

雇用は全国的に増加し、物価は12地区の大半で緩やかに伸びた。

エコノミストは通常、関税による物価高を政策当局者が一時的な要因と見なすと想定する。投資家はFRBが今年利下げするとの見方を強めており、何人かの政策当局者は利下げが選択肢にあることを示唆している。また、貿易摩擦が経済に打撃を与えているという懸念も高まっている。

ベージュブックはクリーブランド地区における製造業の回答に言及し、「中国とのモノの取引で関税が上がると中国の製造業活動が一段と鈍化し、中国製造業者による米国産品の需要が減ることを多くの調査先が不安視している」とした。