車の前に飛び出す歩行者のシミュレーションが可能

ボルボ・カーズは、VRスタートアップのバリヨ・テクノロジーズ(Varjo Technologies)に数百万ユーロを投資することを明らかにした。自動車のテストドライブの際に、スクリーンとカメラが備わったバリヨのヘッドセットを使用すれば、ヘラジカなどの危険を避ける仮想テストを行うことができる。
ノキアとマイクロソフトの出身者が創設したバリヨは、VR/AR対応のヘッドセットを開発している。同社のヘッドセットは、競合他社の製品と比べて画像解像度が大幅に高い。価格は5995ドルで、さらにカメラのアドオンに費用もかかる。
現実世界の高解像度ビデオと、デジタル作成したオブジェクトを合体させる機能を開発したバリヨは、スカイプ創業者のニクラス・ゼンストローム率いるアトミコ(Atomico)とEQTベンチャーズから出資を受けている。
ボルボ・カーズ・テック・ファンドを率いるザキ・ファシウディンは電話インタビューで「車の前に飛び出す歩行者や動物のシミュレーションが可能だ。ヘッドセットのセンサーを使えば、装置を着用している人の眼の動きを追跡できる」と話した。
「この種の技術を活用すれば、当社の製品を、より安全かつユーザーフレンドリーにする方法について、多くのことを学べる」

バリヨ、シーメンスや米空軍にも使用事例拡大

ボルボは過去数十年にわたり、3点式シートベルトや側面衝撃吸収システムなどを自動車メーカーとして最初に導入し、安全に関する高い評価を築いてきた。
同社のエンジニアやデザイナーは、これまでもテストドライブでヘッドセットを活用し、路上の危険物などの要素をテストに追加したり、さまざまな内装の要素を試したりしてきた。
仮想現実(VR)ヘッドセットについては、一般消費者向け製品として当初約束されていたことの多くは遅々として実現していないが、バリヨはプロフェッショナル市場にターゲットを移しつつある。シーメンスや米空軍などがバリヨのヘッドセットを試用し、使用事例を拡大している。
具体的な投資規模については、ボルボはコメントを避けた。
バリヨはこれまで、ヘッドセット開発資金として5000万ドル弱を調達している。また、アウディやBMWなどの自動車メーカーとも提携している。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Niclas Rolander記者、翻訳:梅田智世/ガリレオ、写真:www.volvocars.com)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.