【木下斉】補助金は「毒薬」。地方ビジネスの意外な落とし穴

2019/6/5
最前線で活躍するイノベーターたちの講義をオンラインでお届けする動画講義『MOOC』。
先月からは「起業・新規事業」特集をスタートしている。
本日はその第2弾として、エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事の木下斉氏による「建前なしの地方起業ストラテジー」を配信する。
衰退が叫ばれる地方ーー。しかし、現在日本を代表する企業の中には、地方発の企業が数多く存在する。
また現在でも地方からは面白いビジネスが続々と誕生している。
木下氏は地方ビジネスの活性化に20年以上関わり、地方起業の成功例・失敗例を知り抜いたエキスパートだ。
その知見は地方だけではなく、大都市圏で新規事業を立ち上げるビジネスパーソンにとっても有益だろう。
無料公開中の第1話では木下氏が講座の概要を紹介。今回はその第1話の内容を中心に本講義の全体像をお届けする。
無料公開中の第1話はこちら

あの大企業も地方発

木下 今回は、地方で新しい事業を起こす「地方起業」をテーマに講義します。
地方で起業というと、「スモールビジネスを立ち上げる」というイメージがあるかもしれません。
ゲストハウスを作る、小さなお店を開業する、これも地方起業の一つです。
しかし、地方は小さいビジネスだけでなく、過去に大きなビジネスも生まれています。
例えば、愛知県といえば泣く子も黙るトヨタグループがあります。
また北海道にはどんな企業があるでしょうか?
CMも頻繁に放送されている、お値段以上...
ニトリですね。
このように地方は小さなビジネスだけでなく、大きなビジネスも生んできました。
また戦後誕生したベンチャーの多くは地方発だったりします。
私の経験を少しお伝えすると、20年以上前に早稲田商店街の活動に関わったのが地域ビジネスとの最初の接点です。
この商店街は補助金などを使わず、民間の資金だけで商店街を活性化させて注目を集めました。
その経験から私は高校時代から夏休みなどを使って、地方にその成功モデルを展開するお手伝いを始めました。
さらに早稲田商店街の方々と共同出資会社を設立して、その社長に就任しました。
これを皮切りに、その後20年ほど地方と関わっています。そうすると、「やって良いこと」、「悪いこと」が見えてきます。
この講座では「絶対にやってはいけない」、「絶対にやりましょう」という地方起業の「基本のキ」をお伝えします。
皆さん、ぜひ付いてきてください。やりましょう!!

次々と明かされる「地方起業のリアル」

「建前なしの地方起業ストラテジー」では、第2話以降でその内容を詳細に解説する。
第2話以降のタイトル、内容は以下のとおり。毎話の最後で、木下氏が発する決めゼリフにも要注目だ。
地方起業の成否を分けるものーー。
木下氏は「補助金」の存在を挙げ、補助金を活用しようという発想が間違いだと断罪する。
地方に存在する数々の「失敗事例」を取り上げ、補助金に頼った事業のリスクについて解説する。
「稼ぐ街」になるための条件とは何か。
木下氏は「地域に入るお金を増やし、出るお金を減らす。そして地域内でお金を循環させること」と言い切る。
それを踏まえ、日本の地方都市がロールモデルにするべきはヨーロッパの地方都市だと言う。
脱工業化後の成長モデルの事例を見ながら、木下氏が地方起業のポイントをお伝えする。
地方で事業を立ち上げる上で、木下氏は「ターゲティング」の重要性を挙げる。
老若男女問わずターゲットにするのではなく、「針の穴ほど狭いところまで絞り込む」ことで成功を引き寄せられるという。
その事例が岩手県紫波町にあるバレーボール専用体育館だ。
雪国であるがゆえに体育館が豊富にある岩手県。なぜその地で100%民間が運営するバレーボール専用体育館は成功したのか?その背景に迫る。
地方でビジネスを展開する上で、商圏の見極め方がポイントだと語る木下氏。
拠点を構える市町村の人口ではなく、「都市圏」の人口に留意すべきだという。
なぜ都市圏が重要なのか?北海道に拠点を構える、ある飲食店の事例を参考にその理由を明かす。
モノやサービスが溢れている現代、良いモノやサービスを提供すれば売れるという道理は通じない。
そこでより重要になるのが「逆算開発」だと木下氏は断言する。
お客様を予め見つける先回り営業をして、逆算開発を実施する重要性を解説する。
地方で成功する上で重要な発想は「小さく産んで大きく育てる」。
それをかつて体現した人物として、木下氏は二宮金次郎を挙げる。
薪を背負っている銅像が有名だが、その薪の存在も地方ビジネスのヒントになる。
また二宮金次郎はある重要な法則を踏まえて事業を展開していた。果たして、その法則とは?
地方起業で陥りがちなのが地域の有力者などのステークホルダーと事業を開始する前に「合意」を取ろうとすることだと語る木下氏。
一見正しそうな行為だが、実はこれが落とし穴だという。
なぜ合意を取ることで成功が遠のくのか。その理由を明かされる。
「大失敗しないレベルですぐにやる」。
最終話で木下氏が熱く語るのは行動する重要さだ。
過去の事例を調べるのも重要だが、実践してわかることもあるのだ。
この講義を観て、ぜひ行動に移していただきたい。
アカデミア会員の方は、アプリにて全エピソードを視聴いただけます。詳細は以下の画像をクリックしてサイトをご覧ください。