【選手村マンション】見学者殺到の裏で見えた課題

2019/6/2
総敷地面積約13万㎡、総戸数5632戸、約1万2000人が住む巨大な街が晴海に生まれる。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に開発される「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」だ。
分譲予定の戸数は4145戸。東京都内では最大級の規模になる。今年、最も話題を集める晴海フラッグの販売が、7月に始まる。
ゴールデンウィーク初日から公開が始まったモデルルーム見学は申し込みが殺到し、6月下旬まで予約が埋まっている。来場者・予約者の合計は5月末までで4000件を超えた。
晴海フラッグの販売センター。大手不動産会社11社がスタッフを派遣している(撮影:花谷美枝)
人気の理由は規模だけではない。三方を海に囲まれた眺望、平均占有面積84㎡という都内の平均的なマンションよりも広めの居室、そして人気の「中央区」ブランドなどだ。
だが何よりも、晴海フラッグの前評判を高めたのは、割安感への期待だった。
東京都は、五輪選手村整備のため、大手不動産会社11社に都有地を周辺相場の10分の1程度の価格で払い下げした。
地価上昇によりマンション価格の値上がりが続く昨今、選手村建設という名目があるとはいえ、破格の安値で仕入れられた土地に建つマンションとあって、「中央区の湾岸に手頃な価格の新築マンションができる」と期待を集めた。
だが、4月に公表された価格は5400万円から1億3000万円台で、安いとはいえない価格だった。このため「本当にお買い得なのか」という声が出てきている。
そこで、将来の資産価値をどれだけ維持できそうかという点にも着目しながら、専門家の意見を聞いてみた。

敷地内で「割安度」に大きな開き

分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」を運営するスタイルアクトの沖有人社長は、前評判に比べて価格設定が高いことを気にしているようだ。
──ずばり、晴海フラッグは割安なのでしょうか?