[29日 ロイター] - 英議会の姿勢が何の合意もないまま欧州連合(EU)を離脱することに断固反対を示しているため、合意なきブレグジット(英のEU離脱)の確率は絶対水準として見れば依然として低い。ただ投資銀行の間では、合意なき離脱の確率を引き上げる動きが広がりつつある。

ロイターが取材した投資銀行の半分以上は、合意なき離脱確率をこれまでに上方修正している。メイ首相が離脱協定案を巡って野党・労働党と妥協することに失敗して辞任を表明し、EU懐疑派のボリス・ジョンソン前外相が後継者レースの先頭を走っているからだ。

BNPパリバは合意なき離脱確率を40%と従来の2倍に高め、JPモルガンも15%から25%に見直した。

リスクがさらに高まるかどうかは、与党・保守党党首選の結果次第だ。一部のアナリストは、欧州議会選においてブレグジット党が躍進したことで合意なき離脱賛成派が意を強くしたとみている。

どの投資銀行が示した合意なき離脱確率も50%に届かず、大半は10─25%の範囲に集まった。INGバンクのジェームズ・スミス氏によると、英議会は合意なき離脱反対が圧倒的なため、今後内閣不信任案が提出されて総選挙が実施され、離脱期限が延長されるか、離脱撤回が議決にかけられてもおかしくない。同氏は合意なき離脱の確率を20%に設定した。

欧州議会選では親EU政党も勢力を伸ばしたことから、2回目の国民投票が行われたり、結局離脱がなくなるかもしれないとの声もある。

合意なき離脱確率を40%としているゴールドマン・サックスは「労働党指導部は、2回目の国民投票を提唱するのが選挙で有利になると決断する可能性が十分にある。あるいはEU懐疑派の次期首相が合意なき離脱を推進する意向を示した場合、議会の過半数は最後の手段として政府のEU離脱通告の取り消しを可決すると考えている」と説明した。