【格差】従業員の過半数。「非正規差別」に揺れるグーグル

2019/6/3

「平等な職場」という幻想

ミンディ・クルーズは2017年に、採用担当の派遣社員としてグーグルで働くことになった。当時彼女は、別の大手テック企業から正社員のオファーを受けており、それに比べるとグーグルの仕事は報酬も、福利厚生もよくなかったが、グーグルの正社員になる夢に一歩近づくことができると思ったからだ。
こうしてクルーズは、膨大な数の派遣・契約社員の群れに加わった。実はグーグルでは、非正規雇用者の数が正社員の数を上回っている。
結局、クルーズは正社員への昇格を果たすことができなかった。数カ月にわたって彼女に嫌がらせを続けた上司が、人材派遣会社に掛け合って、彼女をクビにしてしまったのだ。
テック企業は長い間、平等主義のすばらしい職場というイメージを推進してきた。とりわけグーグルは、他社よりもそうしたイメージが強い。給料は高く、福利厚生は充実し、社員特典も贅沢だと評判だ。
しかし、派遣・契約社員への依存度が増していることから、一部の従業員の間には、丹念に築き上げられてきたグーグルの企業文化を、経営陣が弱体化させているのではないかとの声が上がっている。
ニューヨーク・タイムズが入手した内部文書によると、3月の時点で全世界のグーグルの正社員は10万2000人だが、非正規雇用の契約社員はおよそ12万1000人にのぼる。
グーグルを解雇された、派遣社員のミンディ・クルーズ(Jessica Eve Rattner/The New York Times)

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