[ロサンゼルス/東京 30日 ロイター] - パナソニック<6752.T>が、太陽光パネル事業で協業する米テスラ<TSLA.O>のバッファロー工場(ニューヨーク州)で生産する太陽電池の大部分を、大手住宅メーカーの一条工務店(東京都江東区)の関連企業が保有するフィリピンの工場に出荷していることが分かった。複数の関係者が明らかにした。

パナソニックは2016年、太陽光パネル事業でテスラと提携。光エネルギーを電気に変える「太陽電池セル」というパネルの主要部品をバッファロー工場で生産し、テスラが開発した屋根用タイルと太陽光パネルを一体化した「ソーラールーフ」などの製品向けに供給する予定だった。

しかし、テスラのソーラールーフの本格的な生産は大幅に遅れ、パナソニックはセルの新たな買い手探しを強いられた。同社は、昨年10月に米当局に提出した書簡の中で、バッファロー工場で生産するセルの大部分は「米国国外に輸出される見通し」と説明していたが、具体的な出荷先は明らかにしていなかった。

関係者によると、バッファロー工場のセルの出荷先は、H.R.D.シンガポールという企業が保有するフィリピン工場。この工場は、一条工務店向けに太陽光パネルを含む住宅部材を生産している。

バッファロー工場の従業員によると、H.R.D.のセル購入に比べると、テスラの購入は散発的だという。パナソニック、テスラ、H.R.D.は、ロイターの問い合わせに対し、いずれもコメントを控えた。

一条工務店は、年間売上高約4000億円の非上場企業。事業は国内が中心だが、米ワシントン州やオレゴン州でも住宅事業を展開している。

米国製のセルを使った太陽光パネルを米国に輸入する場合は関税が免除されるため、バッファロー工場で生産されたセルを米国向けパネルに使用すれば関税面で有利だが、H.R.D.のフィリピン工場からどこに出荷されているかは分かっていない。

(Nichola Groom、山崎牧子 編集:田巻一彦)