【解説】お金を生む力。アマゾンとZARAは「CCC」がすごい

2019/6/8
ユニクロがしまむらに負けている経営指標がある──。
それは企業がキャッシュ(お金)を生み出す力を示す「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」である。
企業経営では、実際の現金の出入りをより重視する「キャッシュフロー経営」が叫ばれて久しい。そうした中、いま注目が集まっているのがCCCである。
その注目のCCCについて、身近なアパレル業界の例を中心に、財務戦略アドバイザーでインテグリティ代表取締役の田中慎一氏が解説する。

なぜ今「CCC」なのか?

日本の資本市場では、2000年くらいから「キャッシュフロー経営」が注目されて、投資家は企業に出入りするキャッシュ(現金)をより重視するようになっています。
その背景には、日本の資本市場では、1990年代の後半から日本の会計制度をグローバル化させようとする「会計ビッグバン」という動きがありました。
(写真:アフロ)
銀行と事業会社の株の持ち合い解消や金融のグローバル化の流れも相まって、外国人株主が日本の市場にもかなり入ってきていました。
そういう大きな流れの中で、最近にわかに注目を浴びてきたのが、「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」という指標です。
今もそうですが、日本にはそれぞれの業界に商習慣があります。売上代金の回収や仕入れ代金の支払いなど「月末締め・翌月末払い」というような慣習がなんとなくあります。
その中で、なかなかコントロールが利かなかった商習慣の世界を、CCCという指標で見て、企業のキャッシュフロー経営の「実力」を測るというのがCCCです。

CCCとは「キャッシュを作る力」

CCCとは、ひとことで言うと、企業の「日々のキャッシュを作る力」です。