【独白】日本電産のカリスマ創業者を「ファイナンス」で支えた男
コメント
注目のコメント
キャッシュフローへの着目は他の方も指摘している通り重要です。まだ出ていない点を一つ挙げておきますと、キャッシュを一時的に創出することは業態業種によっては比較的簡単です(広告販促費を絞る、設備投資を後ろ倒しする等)。M&A候補の会社にそのような経費圧縮の跡がある場合、見せかけの利益・キャッシュフローの可能性があります。
また、特に事業会社で重要な点ですが、トップの鶴の一声で、現場部隊が「バリュエーションが幾らであろうと絶対に買収する」というミッションを持ってしまうことがあります(勿論、何年も後から見てそれが事業戦略上の英断であったということもありますが…。)
PMIが何より重要というのもこれまた完全同意です。ファンドの場合オペレーションや管理の「統合」というものはありませんが、経営陣や現場の方々との良い信頼関係を築けるよう精一杯取り組みます。個々には当たり前の教科書論ばかりが述べられている。それが逆に凄い。何事も言うは易し、「現実はそう簡単では無いんですよねえ」的な事ばかりの世の中だが、ここまで教科書通りに実践出来ている組織の変態性というべきか、凄いの一言。
その結果が、60社買収して減損ゼロ、売却ゼロというのはもはや奇跡の領域。そんな会社は日本はもとより世界に一社も無いと思う。M&Aのノウハウの塊です。 CFOは、ともすれば、数字しか見ないというイメージもありますが、吉松さんは、買収先の工場に定期的に行き、「数字と現場の空気感のギャップ」を把握し、本質的な問題をみつけていたということです。「売り上げより利益、利益よりキャッシュフロー」という言葉は名言だなと思います。
ちなみに、吉松さんは今、独立して、大学で教鞭を取る一方で、コンサルタントとして活躍し、経営の判断を促すAIを開発すべく、ビジネスパートナーを探しているようです。
個人的には別の企業でCFOとして、バリバリ日本経済を引っ張って欲しいなと思いましたが、吉松さんとしては、もっと自分のノウハウをソフトウエア化して、広げて行きたいようです。それはそれで楽しみではあります。