[28日 ロイター] - 業界アナリストによると、仏自動車大手ルノー<RENA.PA>が欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI> <FCAU.N>との合併案を受け入れた場合、両社は主力モデルの多くについて部品や基本構造を統一することで、ほぼ直ちにコスト削減に着手することが可能という。

また、ルノー・日産自動車<7201.T>連合の元幹部によると、日産が合併に加われば、相乗効果は増大する可能性がある。

FCAはルノーに対し、対等合併を提案。両社は広範囲にわたる技術革新や規制強化に伴うコストの削減に向け、合併協議を行っている。[nL4N2331A8]

オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラニ副社長は、ルノーとFCAの合併は「部品の共有拡大を意味し、FCAの小さめのモデルの収益性を押し上げる可能性がある」と指摘。

共通の車台構造を利用して類似モデルを生産すれば「両社にとって生産の自由度がかなり高まる。同じ組み立てラインでブランドやサイズの異なるモデルを生産したり、生産のバランスを取るため工場間で生産車を交換したり、需要の変化や関税などの影響を考慮して生産国をシフトすることも可能だ」との見方を示した。

フィオラニ氏はまた、電気自動車とパワートレインに関するルノーの知識を共有することでFCAは恩恵を受ける可能性があると指摘した。これらはルノーと日産が共同で50億ドル超を投資してきた分野で、FCAは部品や知的財産をほとんど持っていない。

ただ、ルノーの元最高執行責任者(COO)でルノー・日産連合のベテラン幹部だったパトリック・ペラタ氏は、ルノーと日産が共有する知的財産が、合併実現のハードルになると指摘。「FCAがそれを使用するには日産の合意が必要だ。今は誰もこのことに触れていないが、これは重要な問題だ」と語った。

フィオラニ氏は、北米で大型ピックアップやスポーツ用多目的車(SUV)に使用されているFCAのボディー・オン・フレーム構造の共有にルノーが関心を示す見込みはなさそうだが、「日産が合併に招かれれば、新たな可能性が開かれる」と指摘。

「日産は次世代タイタンやアルマーダ向けにFCAのフルサイズトラックのプラットフォームを使用し、FCAは次世代ダコタやデュランゴ向けに日産の中型トラックのプラットフォームを使用することが可能になる」と述べた。

またルノーとFCAの合併が承認されてから共通構造で生産された最初のモデルが投入されるまでには少なくとも2年はかかるとの見方を示した。