(ブルームバーグ): フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が仏ルノーに提案した経営統合計画で、ルノー株を保有する日産自動車の統合新会社への持ち分は7.5%となり、議決権も付与される見通しであることがわかった。事情に詳しい関係者が明らかにした。

FCAが27日発表したルノーへの統合提案によると、両社の株主が統合会社の株式を50%ずつ持ち合う内容だった。事情に詳しい関係者が非公開の情報として匿名を条件に話したところによると、日産が現在ルノー株15%を保有しているのに対し、統合が実現した場合の日産の持ち分は7.5%になるという。

ルノーは現在、日産株の約43%を保有して議決権を持っている。日産が保有する15%のルノー株には議決権がないが、関係者によると統合後の新会社では議決権が復活することになるという。

フランスには同国企業の株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与える「フロランジュ法」があるが、FCAの発表資料によるとオランダに本社を置く統合会社の株式については同法は適用されない。フランス政府は現在、ルノー株約15%を保有する筆頭株主。

関係者によると、FCAとルノーは統合に関して日産や三菱自動車に強制する考えはないといい、ルノーのジャンドミニク・スナール会長が近く来日して日産の幹部にFCAとの統合計画について説明するとしている。

FCAは27日の発表資料で「ルノーのアライアンス・パートナーと協働し、さらなる価値を創造したい」と明記。ルノーとの統合にあたっては、当初は11人の取締役を置くが、ルノーとFCAはそれぞれ4人、日産は1人の候補を出すことを想定しているとしていた。

ルノーは4月以降、複数回にわたって日産に経営統合を提案したが日産は拒否。日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は14日の決算会見でルノーとの外形的な統合は技術や顧客を毀損(きそん)するリスクがあるとして、否定的な見解を示し、ルノーのスナール会長との間でも「今はその議論をする時期ではない」という点で一致していると説明していた。

FCAの発表資料によると、ルノーとの統合に関するフィナンシャルアドバイザーは米ゴールドマン・サックス・グループと野村証券など3社が務める。

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