【予測】OpenWorkな未来で、私たちの「働く」はどうなる?

2019/5/28
「頑張っても頑張らなくても給料が変わらない」「働いているフリで乗り切ってる先輩が大量にいる」「短時間勤務したいけど、職務内容が変わるのはイヤだ」……。 
 古き良き日本的雇用の三種の神器である「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」
 これらが日本経済の成熟化や、技術革新による市場のライフサイクルの早期化などにより、1990年代以降に崩壊を始めて久しい。
 終身雇用の時代は、若手の頃の給与は安くても、我慢して会社に長く勤めれば徐々に上がっていき、さらに定年まで雇ってもらえる「保障」があったかもしれない。
 しかし、先日トヨタ自動車の豊田章男社長は「今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」と指摘。
 経団連も中西宏明会長が「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と話すほか、新卒一括採用についても通年採用を広げていくことで大学側と合意した。
 また、雇用を守る代わりに勤務地・仕事内容・労働時間・出向先を会社が決めるメンバーシップ型雇用から、仕事内容にふさわしい能力やスキルを重視するジョブ型雇用への転換が早急に求められており、これは政府内でも議論が始まっている。
 出生数が減り続け、少子高齢化はますます進み、それに応じて労働力人口も減少する日本。
 2015年に6440万人だった就業者が、2030年には5560万人まで減少すると予測されるなか、若くて安い労働力を引き続き利用しようと考えていては、人材不足の時代は乗り切れない。もはや、企業の存続も危ういだろう。
 10年以上続き激化している熾烈(しれつ)な人材獲得競争、富士通の45歳以上早期退職勧告、残業時間の削減・短時間勤務など働き方の多様化……。
 雇用や働き方に関するさまざまな問題が噴出する日本に求められるのは、企業情報が透明化されフェアで流動性の高いジョブマーケットなのだ。
 そして、この企業情報をオープンにするのが「OpenWork」だ。
 OpenWorkは、社員クチコミをはじめ企業評価、残業時間・有休取得率、業績データ、求人・選考データなど、キャリア開発に関わるあらゆる情報を網羅的に蓄積できる。
 さらに、経営・組織開発領域でのリサーチやコンサルティング、金融マーケットでの投資判断やリスクマネジメントの指標にも活用できるのだ。
 この「OpenWorkが浸透した世界」では、どのようなことが起きているのか。本記事では、OpenWorkが浸透した近い将来を想像する。

【シミュレーション】西暦202X年……

 昭和・平成まで続いた「日本型雇用」の歴史は終止符を打った。令和時代に入り「OpenWork」が隅々まで浸透したことで、日本のジョブマーケットはあらゆる企業情報が透明化し、流動性が最大化した──。
Question:「日本型雇用市場」に何が起きた?

① 旧来の「新卒一括採用」が主流ではなくなった

 「総合職採用」が学生から敬遠される。企業は、入社後の活躍期待領域を明確にしないと優秀な人材が採用できない。
  新卒採用の自由化が進むことで、別々に存在していた新卒マーケットと中途マーケットの壁も低くなり、その仕事に対するスキルや能力が見合う人材が採用される。
「新卒市場」と「中途市場」の区分けはなくなり、ひとつの統一されたマーケットへ。

②「雇用形態」の格差はなくなった

 正規か、非正規か、個人事業主か等の契約形態は重要ではない。
 正規が特別に恵まれた形態ではなくなり、非正規や個人事業主の高所得者が増える。プロジェクトやフェーズごとにふさわしい人材が社内外から集まり、それぞれの働き方で遂行するように。
「正規雇用」は特別な存在ではなくなり、あらゆる働き方がフェアに。

③「終身雇用」がなくなった

 企業が長期に雇用を保障する前提はなくなり、働く側も10年、20年という将来の安心を企業に求めない。だから、新卒で入社した会社で「将来の安心が決まる」こともなくなった。
 より自分に合った環境を求めて自由に転職できるようになり、平均勤続年数はぐっと短く。“雇われる”感覚は薄くなっている。また、企業経営の自由度が高まることにより、国の税収も増え、社会保障については国の役割が高まる。
会社に縛られないことが当たり前になり、より自由に仕事と関わるように。

④アンフェアな「利権構造」がなくなった

 若者は低賃金を我慢し、長年働いているシニア世代が高収入を得る仕組みはなくなっている。
 仕事に対するスキルや能力に見合った報酬が即時に得られる社会になり、優秀な人材ほど高給取りに。同時に、既得権益や甘い汁を吸える天下りなどの仕組みが崩壊。利権構造はフェアに。
「年功序列」がなくなり、高いパフォーマンスを発揮した人は年齢に関係なく報酬を得るように。
 こうした社会の土台となるのが、OpenWorkが使われることによる「情報の透明化」だ。では具体的にOpenWorkが当たり前に使われることで企業や人にはどのような変化があるのだろうか。
Question:企業と働く人はどう変わる?

①「企業」はこう変わる

 すべての情報がオープンになるため就職や転職がしやすくなり、「入社後ギャップや不満を感じながら、同じ会社で働き続ける人」が少なくなる。そのため、企業は実態を良くしようと人的資源(報酬・環境)に投資するようになる。
 結果、良い会社に人が集まり、良くない会社からは人が離れ、健全な企業の新陳代謝が活発化する。
 また、人材が流動化し、「納得して働く人」が会社に残るため、従業員エンゲージメントも生産性も高まる。
企業情報がガラス張りになることで、各会社に納得して働く人が集まるように。

②「個人」はこう変わる

 終身雇用がなくなるため、大手企業に入ることよりも、自分の成長が将来の安心材料につながるように。そのため、自分が満足いく報酬や適した働き方ができる仕事を得ようと、自己成長や自己投資への意識が高まる。
 これまで転職に消極的だった人も前向きに転職を考えられるようになり、より自分がやりたい仕事や自分に合った会社を選ぶように。
すべての働く人が常にジョブマーケットを意識し、自分でキャリアを描くように。

③「ジョブマッチング」はこう変わる

 各企業に入社した人の収入やその後の昇給率、会社に対する満足度の推移など、あらゆる事例データがOpenWorkに蓄積される。
 そして、自分と類似したスキルや特性を持つデータが絞り込まれ、入社後に想定される満足度も判定された上で、応募すべき企業やポジションがレコメンドされる。
自分が「やりがいを感じる仕事」がデータに基づいてレコメンドされるように。
 こうして「企業情報の透明化」が隅々まで行き渡ることで、昭和・平成時代で浮き彫りとなったジョブマーケットの問題は解決されていく。
 情報の非対称性がなくなり、ジョブマッチングが最大効率化され、人材の流動化と生産性が高まり、働きがいと働きやすさが最大化されたジョブマーケット。
 それがOpenWorkの目指す未来だ。
(構成・編集:田村朋美、呉琢磨、イラスト:岡田丈<vision track>、デザイン:堤香奈)
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