[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米政権は23日、米中貿易戦争の長期化で打撃を受けている農家を支援する160億ドルの救済策を発表した。農家への支給率については作物の種類ではなく、農家の場所に基づいて決定するという。

救済策の大部分が直接支給となるが、農務省の説明から大豆や豚肉、トウモロコシといった生産物の種類に基づく支給になると見込んでいた農家やトレーダーにはサプライズとなった。

多くの農業団体は救済策を歓迎した上で、可能な限り早期の中国との通商合意を求めた。一方、一部の民主党議員らは対策は「一時しのぎ」にすぎないと指摘。各郡に基づく支給では一部の農家は支給額が減ると批判した。

トランプ大統領は、支援策に関する記者会見で「農家は中国から攻撃されている。しかし、いかなる国も米国の経済・国家安全保障を否認できないことを、この160億ドルの支援策が明確にするだろう」と語った。

農務省当局者は23日、145億ドルが直接支給になるとし、3段階に分けて実施する方針を示した。最初の支給は7月下旬という。

パーデュー農務長官は「今日発表した救済策は、中国や他国による貿易慣行による影響から農家を確実に守る。農家は支援ではなく貿易を望んでいるだろうが、貿易がなければ何らかの支援が必要になる」と語った。

また、補助金支給の第2、第3段階について、通商協議の進展状況や合意に至るかどうかに左右されると述べた。具体的な金額もまだ決まっていないという。

救済策には食料購入を通じた14億ドルの支援や海外市場の開拓向けの1億ドルも含まれている。

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