【ルポ】7年でGDP62%減。破綻国家ベネズエラに生きる人々

2019/5/28

米の経済制裁が追い打ち

ムガベ大統領の独裁下で衰退したジンバブエ。崩壊したソビエト連邦。1990年代に破綻したキューバ。
そのすべてをしのぐ未曽有の経済崩壊が、ベネズエラで起きている。
これほどの規模の破綻は少なくも過去45年間、戦争以外の理由では例がないと、エコノミストは指摘する。
「内戦以外でこれほどの悲劇が起きるとは、本当に考えられない」と、IMFの首席エコノミストを務めたハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(経済学)は驚きを隠さない。
「ベネズエラのケースは今後何十年も、国を破滅に追い込んだ失策の代表例として語られるだろう」
(Meridith Kohut/The New York Times)
これに匹敵するレベルの荒廃の例としてIMFのエコノミストが挙げるのは、リビアや1970年代のレバノンなど、戦争で引き裂かれた国々だ。
しかし、一時期はラテンアメリカで最も豊かな国だったベネズエラを破壊したのは、戦争ではない。
故ウゴ・チャベス政権から現在のニコラス・マドゥロ政権に至るお粗末な統治、汚職、失策が急激なインフレをあおり、産業を潰し、国を弱体化させたと、専門家は解説する。
さらにここ数カ月は、米トランプ政権の厳しい経済制裁が、追い打ちをかけている。

食料も医薬品も輸入できない