[ロンドン/ムンバイ 20日 ロイター] - 米アルファベット<GOOGL.O>傘下グーグルが、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]へのソフトの提供などを停止したことで、同社のスマートフォン利用者は他社製品に切り替えるべきかどうか、頭を悩ませている。

グーグルは20日、トランプ米政権によるファーウェイへの禁輸措置に従い、同社の新たなスマホに対する基本ソフト(OS)「アンドロイド」の提供を中止すると発表した。

今後販売されるファーウェイのスマホでは、アプリ配信の「グーグルプレイ」が使えなくなり、メールソフトの「Gメール」、動画投稿「ユーチューブ」、ブラウザー「クローム」などにアクセスできなくなる恐れがある。

ファーウェイにとって中国本土以外で最大の市場である欧州でも、数千万人の消費者に影響が及びかねない。

「ショックが大きい」と語るのは、同社の新スマホ「P スマート+」を持つオランダ人のルナ・アンジェリカさん。ロンドンにいる彼女は、競合機種に乗り換えるため既に「節約を検討中」だという。

トランプ氏の措置は、韓国のサムスン電子<005930.KS>を抜いて世界最大の携帯電話メーカーになるというファーウェイの野望を、たった一撃で打ち砕きかねない。

ケニアの首都ナイロビに住むアンソニー・チリンガさんは、2週間前に180ドル出してファーウェイ「Y7」を購入したばかり。「このスマホは大好きだ。別のスマホを買わなきゃならないかと思うとぞっとする」と語る。

「ファーウエィは、今のユーザーが無料で乗り換えられるような方法を提供すべきだ」とチリンガさんは言う。

中国以外で低・中価格帯のスマホ販売を増やしたいファーウェイにとって、ケニアのような新興国は鍵を握る市場だ。同社のシェアが1桁台にとどまるインドも今後、重要な存在となる可能性がある。

インドのムンバイに住むビジネスマンのスミート・リヤルプリさんは、今持っているファーウェイ機を新機種に買い替えようかと考えていた。しかしグーグルプレイやユーチューブが使えなくなるのなら「少なくとも当面は買いたくない」

ムンバイでスマホ販売店を営むマニシュ・カートリさんは、今回の措置を受けて「お客さんにはサムスンやアップルなど他のスマホブランドを勧める」と話す。

<ユーザーから不平>

グーグルのアンドロイド運営チームはツイッターのアカウント@Anroidで、「グーグルプレイなどのサービスや、グーグルプレイ・プロテクトによるセキュリティー保護は、お手持ちのファーウェイ機器で今後も作動いたします」と説明した。

このアカウントには「つまり米国の法律を理由に、世界中のユーザー数百万人を事実上罰するんですね」「すごく心配です。私の機種はP30・Proです」など、不平や心配の声が寄せられた。

通信事業者も、グーグルの措置による商売への影響を懸命に見極めようとしている。

スペインの大手通信会社テレフォニカ<TEF.MC>は「顧客に影響が及ぶ可能性があるか判断するため、大統領令の詳細を検証中」だと発表した。

英国の通信会社スリーは顧客向け文書で、ファーウェイのルーターや機器は今後も機能するが、「ファーウェイと協議しており、できるだけ早期に最新の情報をお知らせします」と説明した。

(Hazel Baker記者 Sankalp Phartiyal記者)