(ブルームバーグ): 米電気自動車(EV)メーカーのテスラに、ウォール街がまた厳しい見解を突きつけた。モルガン・スタンレーはテスラがEV市場を飽和状態にしたとの懸念から、最悪のシナリオに基づく予想株価を10ドルに引き下げた。

アダム・ジョナス氏らアナリストはリポートで、「問題の核心は需要」だと指摘。「目先の需要と比較すると、テスラは大きく成長し過ぎてしまい、需給ファンダメンタルズを強く圧迫している」と説明した。

中国販売が現在の予想値の半分しか達成できないという「弱気」シナリオとして、ジョナス氏はこれまで予想株価を97ドルとしていた。目標株価は230ドルに据え置いた。

テスラ株は21日米市場で一時、前日比4.5%安の196.04ドルとなった。

1-3月(第1四半期)の納車台数はわずか6万3000台だった。テスラは4-6月(第2四半期)に最大10万台、通期ではその4倍の40万台を予想している。通期目標の達成には「超人的な努力」が必要になると、ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は19日付リポートで指摘。問題は「緊急を要する事態」だと警告した。

テスラ強気派で知られるロバート・W・ベアードのベン・カロ氏も、ネガティブな語調が変化するまで数週間から数カ月かかる可能性があると21日に指摘。信頼性の問題や意思伝達、臆測などが買い手を遠ざけているとし、目標株価を340ドル(従来400ドル)に引き下げた。

モルガンSのジョナス氏によると、需要が息を吹き返すためにテスラに求められるのは、中国での積極的な事業拡大や、低価格のスポーツタイプ多目的車(SUV)の投入などだ。この戦略も米中貿易摩擦や、新たな競合の参入に脅かされていると指摘した。

原題:Tesla Bear Case Cut to $10 at Morgan Stanley Over Weak Demand(抜粋)

--取材協力:Lisa Pham.

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