[バンコク 21日 ロイター] - タイ国家経済社会開発庁(NESDB)が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比2.8%増と、過去4年あまりで最低の伸び率となった。

輸出の低迷が主因。ロイターがまとめた市場予想は3.0%だった。

2018年第4・四半期のGDPは、前年比3.7%増から3.6%増に改定された。

第1・四半期のGDPは、季節調整済みで前期比1.0%増だった。ロイター調査のエコノミスト予想(1.4%増)には届かなかった。

NESDBは2019年の成長率予想を2月に示した3.5─4.5%から3.3─3.8%に下方修正した。輸出の伸び見通しも4.1%から2.2%に引き下げた。18年の輸出の伸びは7.2%だった。

見通しの下方修正は、世界的な貿易摩擦が拡大すると同時に、国内でも3月24日の総選挙後、依然として政権が樹立されず政局不透明感が続く中で行われた。

野村(シンガポール)のエコノミスト、Charnon Boonnuch氏は「対外的な逆風の高まりや強い政局不透明感を背景に、景気は第1・四半期に著しく減速した」と指摘。同社としては現段階で年間成長率予想を3.4%で据え置くが、「リスクバランスは引き続き下向きだ」と指摘した。

NESDBは、年後半には輸出が徐々に回復する中で経済成長が上向くとの見通しを示した。

第1・四半期GDPは、観光の伸び鈍化や高水準の家計債務を背景に個人消費が抑制されたことも影響した。

第1・四半期の個人消費は前年比4.6%増、民間投資は4.4%増。一方、公共投資は0.1%減となった。

大半のエコノミストはタイ中銀が年内を通じて金利を1.75%に据え置くと予想している。

カシコン銀行の資本市場調査責任者Kobsidthi Silpachai氏は、経済成長率を踏まえると、金融当局者は国内外双方で不透明感が払拭されるまで金利を据え置くだろうと語った。

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