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【解説】初のがん遺伝子治療薬「キムリア」の正体

NewsPicks編集部
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    マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー

    キムリアの承認で、お金の話をされるとしたら、それは木を見て森を見ない議論のようにも感じられます。正確には「見ない」ではなく、情報が不透明で「見えない」のかもしれません。

    キムリアが目立つのは、単価が最高額で3000万円を超えたからだと思いますが、国家の経済の話をするのならば、国全体でどのぐらいのお金を使うか、そして、ただ「医療」に使うではなく、誰に何の目的で使うか、を考える必要があります。

    現在キムリアを最も必要としているのは、ALLと呼ばれる白血病の一種を罹患した、これまで助けられなかった子供たちです。すなわち主な用途は、子供の命を助けるため、です。

    この使徒で使われる金額は、大雑把に約300億円ということになりますが、子供たちはキムリア承認前に手をくわえて見ていただけではなく、様々な治療が行われていたわけですから、これまでも最低数十億円規模のお金が使われていたと思います。この差額が、キムリアで新たに必要なお金です。

    一方、ベスポンサやビーリンサイトという薬剤は、これまで全く話題になっていませんが、いずれも同じB-ALLに対して用いられている画期的な治療法です。さらに、キムリアと異なり大人、高齢者にも用いられています。一回あたりの価格が数百万規模なので話題にならなかったのでしょうが、キムリアと異なり、ベスポンサの場合、年間で18回投与する方がいます。これにより総額は5000-6000万円に上り、キムリアを上回りますが、すんなりと承認を受けました。

    また、インフルエンザの新規治療薬、ゾフルーザを例に取れば、使用用途は「インフルエンザ患者の熱を1日早く治す」というだけでした。これに用いたお金は追加で100億円程度と試算されます。単価は数千円ですが、対象人口が大きいので、結局のところキムリアの半額程度のお金を使っています。

    新規便秘薬、逆流性食道炎治療薬。例をあげたらキリがありませんが、個人レベルでは月額数千円の治療薬も全て、すそ野が広ければ数百億円の支出を生みます。そして、それらは必ずしも命を助ける治療ではありません。

    医療経済を語るなら、医療全体を見通した上で、誰に何の目的でどれぐらい使うかを議論した方が良いでしょう。しかし、そのきっかけになるのなら、いまの議論がなんであれよいのかもしれません。


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    慶應義塾大学 経済学部教授

    超高額薬剤を、公的医療保険でどう受け入れるか。それは、「⼤きなリスクは共助(保険)、⼩さなリスクは⾃助(自己負担)」の原則を徹底し、保険収載の医薬品や医療技術の新陳代謝を積極的に進めることで、超高額薬剤の受入余地を広げることができる。
    それと、製薬会社が「後出しジャンケン」的に、薬価が決まって値下げする前に適用患者を事後的に増やすような行動をとらないこと。薬価が値下がりする前に適用患者数が増えると、医療費が増大する。適用患者(Q)を増やすなら同時に薬価(P)を値下げする。Qが増えてもP×Qが変わらなければ、製薬会社も利益を確保できるとともに医療財政も維持できる。


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    再生医療・幹細胞生物学研究者

    すでに医療経済に関しては良い議論をたくさん拝見いたしますので、私はCARに関して技術的な情報を補足させて頂きます。医療経済的には山田さんの最後のコメントが大変共感するところです。土居さんや、Makinoさんがおっしゃられていることも、単なる単品の薬価に対する過剰リアクションで終わらず、全体が次の議論に進むために大事であると思います。

    記事にもありますが、固形がんにはなかなか難しい状況です。それは敵のがんが集団で局所に固まっているからです。血液がんは1細胞 vs1細胞から戦えます。

    現状のCAR-TはCD19という細胞表面のマーク(B細胞がよく出している)に対して反応するCAR(キメラ抗原受容体)が主です。この間、CAR-T (Kymriah) を共同発明し、初の臨床試験を主導したこと で有名なペンシルバニア大学のBruce Levine先生と直接日本で議論する機会を得ましたが、現在は世界中で359を超えるCARの臨床試験が走っていると伺いました。今、自分でしらべても現在361ヒットします。(日本は16)

    CAR(アンテナ)自体に関しては臨床試験は第二世代が殆どですが、研究だと第四世代くらいまで開発が進んでいます。仲間を呼ぶ因子を出すアドオンを搭載したものもあります。

    これらの中には、PD-1阻害薬(オプジーボ等)を始めとした免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせで、より広い対象を狙いに行くものも含まれます。

    標的はCD19だけではなく、CD20やCD33といった人間がもとから持つ抗原をターゲットにしたCARが殆どで、この治療をすると正常な細胞も殲滅されます。がんが治る代わりに例えばB細胞(CD19陽性)がなくなります。B細胞がなくなっても生きられるので成立している、性質的にはそういった治療です。

    ですので固形がんの場合は特に、がんだけが出すような強力なマークを発見することも課題です。そのマークもCAR-Tは膜表面にでているものしか認識しませんので、がんだけが細胞の中にもっているターゲットが存在しても狙い撃ちできません。複数回投与も可能にするシステムも構築しないと現在の単回に投与できる上限投与量だけでは塊で局所に存在している固形がんに対して効力を出すのは厳しいかもしれません。

    専門的になりましたが、そういったことが業界では課題です。


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