【解説】初のがん遺伝子治療薬「キムリア」の正体

2019/5/22
がん治療の分野に画期的な新薬が登場した。
スイスの製薬大手・ノバルティスが開発した「キムリア」だ。今日から日本で公的医療保険の適用が始まる。
キムリアは「CAR-T(カーティ)細胞療法」の新薬で、患者から免疫細胞を取り出し、遺伝子を改変してがん細胞と闘わせる新しいアプローチの治療薬として注目を集めている。
その薬価は、投与1回当たり3349万3407円。医療保険が適用される薬としては過去最高額となった。
キムリアの製品(ノバルティス提供)
がん治療の高額薬では、昨年、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大学特別教授の研究から派生した「オプジーボ」がある。
オプジーボは2014年に発売された当初、患者1人当たりの薬価が年約3500万円に設定されて物議を醸した(現在は当初の薬価から約76%引き下げられている)。
その金額の高さから一躍注目を集めるキムリアは、どのような治療薬なのか。またなぜ、ここまで高額なのか。解説しよう。
がん治療の「パトリオットミサイル」
がん治療の分野では今、ヒトの免疫を利用してがんと闘う治療薬が話題を集めている。「免疫療法」と呼ばれ、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線に次ぐ、「第4の治療」とされる。
患者から採取された細胞は凍結保存される(ノバルティス提供)
日本の医療現場で使用が始まる「キムリア(一般名:チサゲンレクルユーセル) 」もその免疫療法の1つだ。