[クアラルンプール 16日 ロイター] - マレーシア中央銀行が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.5%増となり、ロイターがまとめた市場予想の4.3%増を上回った。

農業部門が回復した。ただ、昨年第4・四半期の4.7%増から伸びが減速し、外需の減退や米中貿易戦争がマレーシア経済のリスクを高めるとみられている。

第1・四半期は農業部門が5.6%増。前四半期は0.1%増だった。

中銀は先週、景気支援のため2016年以来初の利下げに踏み切った。マレーシアは中間財の対中輸出が多く、米中貿易戦争の影響を特に受けやすい。

中銀は「見通しに対するリスクは引き続き下向きだ。外部要因が主因だ」と表明。通年の経済成長目標は4.3─4.8%で据え置いた。

一部エコノミストは、国内外の要因の悪化で成長がさらに減速する可能性があるとみる。

キャピタル・エコノミクスのアジア地域エコノミスト、アレックス・ホルムズ氏は「今後数四半期、成長が鈍化し続ける公算だ」と述べた。

輸出は2月、3月と減少したが、米中の貿易戦争再燃でさらに下押しされる可能性が大きい。

UOBのエコノミスト、ジュリア・ゴー氏は、第1・四半期に公共投資と民間投資の不振が鈍化したことで成長見通しが悪化したと指摘した。

公共投資は13.2%減少。昨年第4・四半期の5.9%減から減少幅が拡大した。民間投資は5.8%増から0.4%増に鈍化した。

成長の柱である民間消費も7.6%増加したものの、前四半期の8%増からは鈍化した。

マハティール政権は、債務問題を理由に公共投資を縮小している。

中銀はレポ・為替市場の流動性向上に向けた措置や為替ヘッジの柔軟性強化に向けた措置も導入した。

金融市場の指数サービス会社FTSEラッセルは前月、世界政府債券指数におけるマレーシアの市場アクセスレベルを流動性への懸念から見直すと発表した。モルガン・スタンレーは、評価が下がれば約80億ドルの資金が流出する可能性があると指摘する。

ノル・シャムシア・ユヌス中銀総裁は、16日に導入した措置が「(FTSEが)除外する可能性の理由の一部に対処し、オンショアのヘッジプログラムへの投資家アクセスが向上する」との見方を示した。

新たな措置で、登録した機関投資家がリンギを購入するフォワード取引や通貨ヘッジ取引の規制が緩和される。

第1・四半期の同国の経常黒字は164億リンギ(39億3000万ドル)。昨年第4・四半期は108億リンギだった。

*内容を追加しました。

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