(ブルームバーグ): シェアハウス関連融資の問題で経営が悪化しているスルガ銀行は15日、新生銀行と個人向けローンなどの分野での業務提携に関して基本合意したと発表した。

スルガ銀の発表資料によると、無担保ローンや住宅ローンなど個人向けビジネスで連携するほか、事業継承や資産の流動化などに関する分野での協力に関して具体的な検討を始めるとしている。資本提携に関しては業務提携に関する協議や検討を優先するとした上で、新生銀を含む他社と「資本提携を含めたさまざまな将来の選択肢について検討を行う可能性」は排除しないとした。

スルガ銀は家電通販を手がけるノジマとも業務提携に関する基本合意書を締結。クレジットカードの共同事業化や両社の顧客基盤を活用したオンラインサービスなどに関して協議を進めるとした。

スルガ銀が同日発表した今期(2020年3月期)の純利益予想は105億円で最も低い市場予想を下回った。前期は971億円の損失で02年3月期以来の赤字転落となった。

シェアハウス向けの不正融資問題で実施した全件調査で新たに7813件の不正が判明したことを明らかにした。シェアハウス関連の不正が886件でそれ以外が6927件あったという。不正の疑いがある案件も含めると融資総額は6400億円に達するとしている。

3月末の預金残高は3兆1656億円と1-3月で630億円減少。過去1年間の累計の減少額は9240億円に達した。シェアハウス向けの融資などに関して、元本の一部カットについて個別の相談を受けられる準備が整ったとし、裁判所の民事調停など中立的な第三者の判断を経てカットについて「真摯(しんし)に対応」するとした。

同日に静岡県沼津市内で会見した有国三知男社長は、「資金繰りについては十分な水準を確保できている」とコメント。投資用不動産ローンに関して5月の最終週の営業再開を予定しているとしたが、「すぐに契約活動をするのではなく、慎重に進めていきたい」と述べた。

シェアハウス向け不正融資問題では、スルガ銀の外部委員会が昨年9月、融資の審査書類などに改ざんや偽造があり、多くの行員が関与していたと認める報告書を公表。金融庁は10月、スルガ銀に対し投資用不動産向け融資などの新規取り扱いを6カ月停止させる行政処分を出していた。

(決算の詳細や会見の内容などを追加して更新します.)

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