【3分解説】グーグルも注目。無敵ダイキンの次なる「勝ち筋」
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ダイキンといえば、昨年末の東大との連携でのスローガンである「空気の価値化」が、記憶に新しい。
いま我々の取り組んでいる「水質」と同様「空気質」も、なんだかふわっとした領域であるという印象を、持つ方も多いかもしれない。
今までの住空間のUXにおいて、人間の知覚、生体への影響などに対して、水や空気の「質(Quality)」はある種ブラックボックス的に存在してきたように思う。
だが空間体験自体を変える可能性がある分野だと思う。
室内空気質の重要性はWHOはじめかなり前から指摘されてきたが、市場としてはあまり進んでこなかった。
ここにきて空気質モニタリングの低コスト化や小型化に伴って、IoT化やモバイル化の気運がある。
その証左に、2010年代後半になって、大企業のみならず、幾つかのスタートアップも資金を獲得してきている。
その背景には、昨今の、健康と大気汚染への意識の高まりもあるだろう。
水や空気は、健康に関して「新たな連続データ」を提供してくれる、便利な存在である。
最近通信大手などがこぞって取り組む、医療/ヘルスケアのビッグデータ解析によるレコメンドなどとの連携も有用だろう。
ブラックボックスをブラックボックスでなくするプロダクトが、もっともっと盛り上がっていって欲しい。
シンプルなものや、素朴なものも面白いと思う。
実際に使っているのだが、シリコンバレーのスタートアップ「AWAIR」の空気質モニターは、単に室内空気質を可視化し評価するだけ。それだけなのに、なんとなく空間体験が変わっていくのが面白い。
https://getawair.com/
「水質/空気質×データ」が新たなUXを生む中で、人間と環境の相互作用に関する、人間の分解能が上がったり、イメージの構造が変わったりするのではないかと感じている。
健康や生産性はもちろん、嗜好品的なものも含め、いろいろな「空気の価値化」に期待したい。
なんとなくUIがポイントな気がしている。
注目のコメント
この手の記事でダイキンさんの化学事業の側面を取り上げられるのが珍しいのでテンション上がってます。
2018年度は空調事業の売上高が2.2兆円なのに対して、化学事業は0.2兆円と、1割程度の寄与を持つ事業です。(グーグルがダイキンさんのこの側面に注目してたら面白いんだけど…)
化学事業の中身はほぼ、フッ素化学。記事中に取り上げられている冷媒とか、いわゆる “テフロン”(これはデュポンさんの登録商標だから、ダイキンさんのはポリフロンと呼んでいるはずだが)を扱っています。前職はど競合でした。
冷媒の開発、これは何というかすごく、味わい深い分野です。
「フロンガス」というものに良いイメージを持たれていない方はすごく多いのではないでしょうか。オゾン層破壊の原因物質、としてかつて学校で習ったはずです。
フロンガスは、フッ素を構造の中に有するガスの総称だと思いますが、主に冷媒(エアコンとか冷蔵庫とかの熱交換を助ける役割)で使われていて、このうちのCFC、HCFC(要は塩素を構造の中に持つもの)が1980年代にオゾン層を破壊することが分かり、規制の対象となっています。そして、オゾン層を破壊しないフロンガスの開発が行われた。これがさらに、フロンガスの一部が地球温暖化係数が、べらぼうに高いことも問題視されるようになったのが1990年代で、オゾン層を破壊しないし、温暖化係数の小さいフロンガスの開発が行われている、という状況です。
オゾン層を破壊して、温暖化も促進して、悪の親玉みたいなフロンガスですが、開発された当初は魔法の物質と呼ばれていた、と聞いています。人に無害で冷媒として使いやすくて、使用環境下で安定で。
人類が利便性を求め、便利なものを開発し、それが地球に悪影響を与えてしまっていることが分かり、何とか利便性を維持したまま対応しようとしてきている歴史です。
化学って難しい。
フロンガスの規制についてはここが詳しいです。
https://www.ntt-fsoken.co.jp/research/pdf/2017_08.pdf優等生のダイキンですが、話を聞いていて、まだまだ伸びしろを感じずにはいられないラウンドテーブルでした。
最近はデザイン性に拘ったエアコン「リソラ」シリーズも好調のようで
https://youtu.be/bQwQiJtP6EM
「プロダクトデザインを改善する」
「AI・IoTを生かしたサービスと人材を発掘する」
「売り切りではなくサブスクモデルを模索する」
好決算でありながら、まだまだ改善できる余地を多分に残しているんです。
日本のモノづくり企業が次に進むべきステップを、ややゆっくりなのかもしれませんが、それでも堅実に歩んでいるようにも感じられました。
「部屋の空気」のビッグデータの活用法は想像もつかないほど無限大。
記事中で登場する話が数年後、伏線のように回収され、さらなる業績アップにつながるのか、
引き続き今後も注目していきたいと思います。モノづくり日本が時代として完全に終わってることを
ふと教えてくれる記事でした。
「モノを売るだけではなく、その後のサービスソリューションまでを提供していかなければならない」
日本のお家芸で車もMaaSにシフトしてる中で
好調なダイキンのCEOがこう発言している意味合いは大きいですね。
逆に言うとだからこそ、AIoTも含めてネットワーク構築が
重要視され、プリファードネットワークスのようにそこに
強みを持つスタートアップでも勝ちに出れる環境になってきたということ。
ちなみに記事に出てくる阪大は大学のVCが日本で最初に上場していますし、
大学発ベンチャーの数だと東大ですが、産学連携では全然負けてない印象を持ちます。